約 3,881,041 件
https://w.atwiki.jp/hznmatome/pages/63.html
85. sm5728253 2009年01月02日 08 33 投稿 魔理沙とアリスとパチュリーと小悪魔で百合のお勉強 マイリストコメント: 思いの分だけ、おもい~☆ 第二期、4回目のランクイン☆ 投稿者コメント: パチェ『ああぁん・・・はぁん・・あ、あん』 こぁ「とゆう初夢を見たのですよ」 パチェ「何であえいでいるの!?」 こぁ「お着替えを手伝ってる最中ですね」 パチェ「?」 こぁ「ムラムラして、こう(わきわき)」 パチェ「・・・・・・」 こぁ「そろそろ着替えます?」 パチェ「いやー!!」 という恋のアバンチュール☆ タグロック:ゲーム・作者は健常者シリーズ・東方(カテゴリ)・東方超級者向けリンク 魔理沙×アリス と パチュリー と 小悪魔先生 百合のお勉強 ぱちぇ:・・・ぁああん、・・・んぁきゅ、 んっ・・・はん・・・あはぁ・・・ こぁ:むむっ!パチュリー様は まだ寝てるですか~ こぁ:・・・・・・・・・・・・ こぁ:パチュリー様~♪ お~きて~ま~す~か~? こぁ:ね~て、ま~す、ね~? こぁ:・・・・・・オッケーということですね~? ぱちぇ:・・・・はふぅ~ん、ふひゃぁ~ うう~ん・・・あっ・・・あん・・・・・・ ぱちぇ:・・・・・・魔理沙ぁ・・・やん、 そこじゃない・・・・・・あっ、ん・・・ そこ~・・・そこに入れてぇ・・・ ※作者注:魔理沙が本棚に 本を戻している夢です☆ こぁ: ふむ・・・目が覚める気配無しか・・・ こぁ:では、魅惑のイタズラタイム ゲット レディーゴーですね☆ こぁ:起きるまでがゲームです! こぁ:1秒経過ごとに、1cmずつ脱げてくぞ ゲーム☆ Game Start こぁ:グフフフフ☆ズーリズーリっと 0 cm脱ぎ☆ こぁ:ローブって、丈が長いから 楽しみが長☆時☆間 こぁ:え~、お気付きの方も おられるとは存じますが~ こぁ:魅惑のデルタフォース到達時刻は 一分後です☆ こぁ:あ!手がすべった! ぐへへへ、ワープ☆ こぁ:ぬ?アレ?? こぁ:くっ!ヒザか! こぁ:くそ!なめるな! 貴様如きに、我が野望が防げられるか! (ぐい!ぐい!) こぁ:(きゅぽん☆) こぁ:フーフーフー、しょ、勝利~ こぁ:え~もう少しで到達なので、 ここでアンケート こぁ:白?黒?赤?しましま? こぁ:私は、無色透明だと信じてます☆ (うひゃひゃひゃ) こぁ:みなさん、カウントダウンです こぁ:ゴー こぁ:ヨン こぁ:サン こぁ:ニー ぱちぇ:あみゅあぁぁぁぁ こぁ:あー、おはよう・・・ こぁ:う、う、う、う、 何でおいしい所で目が覚めるのですか~ こぁ:パチュリー様には 「エロス」というものが 理解出来ないのですか~? ぱちぇ:魔理沙に抱き付かれたら、 「え?もしかして私に気がある? キャッ☆ど~しよ~☆ ラブラブモード?」 ぱちぇ:って思うことはあるけど こぁ:パチュリー様、それは 「エロス」ではなく「恋」です ぱちぇ:つまり今の私は 「恋する乙女」ということね☆ こぁ: 乙女ロードまっしぐらですね☆ ぱちぇ: 女の子座りで、さらに乙女度アップ☆ (ぺたん☆) こぁ: すばらしい乙女です!パチュリー様! こぁ: もう、他のオカズなんていらない! こぁ:パチュリー様を見ながら、 パンを何枚だって食べれます☆ ぱちぇ:魔理沙は和食派だけど、 パンを食べてくれるかな? こぁ:大丈夫です! こぁ:パンがダメなら、 パチュリー様をお食べ☆ ぱちぇ:え?え? ぱちぇ:わたし、食べられちゃうの? こぁ: そう!まさに食材の無い女体盛り! こぁ:エロス! 閑話休題 魔理沙:よう!パチュリー ぱちぇ:あ!?魔理沙? アリス: おじゃましま~す☆ ぱちぇ:アリスもなの? こぁ:わたしが呼んだのです! ぱちぇ:? 魔理沙: で、用件はなあに?(抱き付き☆) アリス:わ! こぁ:そう! まさにソレですね! こぁ: 魔法使いの方々は、 非常識なのです☆ ぱちぇ:そうかな~? 魔理沙:そんなことないよね~ こぁ:その節操の無い、濃密な コミュニケーションとかですね☆ こぁ:わ、私なんか・・・(ハァハァ)、 直には触れずに・・・(ぐへへ)・・・ 匂いとか・・音とかを・・楽しんでるのに アリス: けど触ったり舐めたりした方が、 お互い気持ちいいじゃない(ペロ☆) ぱちぇ:だよね~☆ こぁ:くっ! ・・・しかし世の中には「じらし」 という高尚な理念があるのです! こぁ: 例えば、この胸のバンソウコウ こぁ: これが無いと、タダのアウト絵ですが、 こぁ: あると剥がす楽しみが生まれます。 こぁ:これが、 かの「天地開元経文」にも書かれている 「バンソウコウ プレイ」です こぁ:漢字で書くと 「比那名居 天子」 魔理沙:つまり人前で、やたらと いちゃついてるのは良くない ということか こぁ: そうです!分かってもらえましたか! こぁ: というわけで、私が先生になって、 常識を教えて差し上げようと 思い立ったわけです! アリス: 面白そうだし、教わってみようか? ぱちぇ:うん、そうね 魔理沙:よし!やってみよー☆ 1時間目 社会 こぁ:では、神社で おみくじを引く時どうしてるか? こぁ:実践して見てください 魔理沙&アリス: わたしたちは、 参拝に来た恋人どうしの役~☆ ぱちぇ:では私が巫女ね☆ 魔理沙:おみくじ下さ~い☆ ぱちぇ:はい、 大吉、中吉、小吉・・・と、 どれを買いますか? ぱちぇ: ・・・・・・一番売れてるのは大吉ですね 魔理沙:どれにしようかな~? アリス:だめよ魔理沙、 そのままでは買えないわ 魔理沙:え? アリス:わたしルール! アリス: おみくじを買う許可証として、 わたしにキスしなければ なりません! アリス:略して、キス占い~☆ ぱちぇ: むむ、鋭いところを突いて来るわね ぱちぇ: 自分ルールは乙女のステータス☆ 魔理沙:うん、じゃあいくよ 魔理沙:ちゅっ☆ アリス: あ☆だめよ~ 魔理沙~☆ アリス: ほっぺのキスは、 ウソキスだよ~ アリス: お口のキスが愛のキスだよ 魔理沙:あはは、ごめんごめん 魔理沙: アリスのほっぺが可愛すぎて、 恋々キスをしちゃったんだ☆ アリス:次はお口に・・・ね☆ 魔理沙:(おくちにKISS☆) アリス:えへへ、恋と愛のキス 両方してもらっちゃった☆ アリス:これぞ恋愛☆ 魔理沙:恋愛キス~☆(抱き付き☆) アリス:キャー☆やだど~しよう☆ こぁ:は~い、そこストップー! 魔理沙&アリス: え?何か、おかしかった? こぁ:はい☆ 一つだけ問題点がありました☆ ぱちぇ:店員とキスしてない! こぁ:そこも重要ですが、もう一つ こぁ: 売店前で長時間、いちゃついてると 順番待ちのお客様に迷惑です。 アリス:あ!そうか! こぁ:前振り省略で、 速攻でキスすればいいんです☆ 魔理沙:なるほど! 「百合は神速を尊ぶ」と言うしな 魔理沙: 流石は紅魔館No.1の常識人☆ こぁ:グフフフフッ☆ それでは実践スタート☆ アリス:魔理沙・・・・・・ 魔理沙:アリス・・・・・・ 魔理沙:ちゅっ! 魔理沙:パチュリー(ペロペロ) ぱちぇ:ハァハァ・・・ 魔理沙:おみくじ下さ~い! ぱちぇ: キスの分だけ、おまけします☆ こぁ:おみくじ購入大成功☆ こぁ: 皆さんも実践で試してみてね☆ 2時間目 英語 こぁ:うp主は英語が超苦手なので、 サッと終わります☆ こぁ:あいさつを御願いします☆ Marisa:Hi! Iam Marisa. チルノ訳:ハイ!魔理沙だぜ☆ Marisa:I would love you☆ and you? チルノ訳:私はお前が好きだー!お前は私を好きかー!? Aice:Yes☆I would love you, too thank you☆ チルノ訳:あなたの匂いを嗅ぐだけで、ハーハーしてしまいます☆はい!どう見ても病気です☆ありがとうございました! Patchouli:The young girl who is right in love☆ こぁ訳:正に百合天国☆ 3時間目 理科 こぁ:お花の育て方です こぁ: 今回は特別講師をお招きしました! こぁ:どうぞー☆ 幽香:ハァーイ、幽香様よ☆ 魔理沙&アリス&パチュリー: 御願いしま~す☆ 幽香:では、百合の華を 「育てて」みましょうか アリス:ふぇ? アリス:え!あっ!やぁ~ん アリス:ツタが絡まってくる~ 幽香: 大丈夫、わたしに身をゆだねて・・・ アリス:ああぁぁぁ・・・・・・ ※作者注: かなり濃い関係に発展しました☆ アリス:いろいろと 育てられちゃった・・・・・・ 幽香:百合の恋心が成長したわ☆ こぁ:・・・・・・百合の花を育てると 言っても、なんか違いますね~ こぁ:ほら~、女の子の花と言えば ・・・・・・ね☆ こぁ:あなたを成長させますか~☆ こぁ:わたしミツバチさ~ん☆ こぁ: お仕事はぁ~花の蜜を吸うこと☆ (チューチュー♪うふふうふふ☆) 幽香:・・・・・・・・・・・・ 幽香:オーケー、把握☆ ちゅど~ん☆ こぁ:うぁ痛タタタタタタッ こぁ:講師の方に 逃げられてしまいましたね~ 魔理沙:アリスという花を育てるなら、 私にも出来るぜ ぱちぇ:私も~☆ アリス:わたし育てられちゃうの? 魔理沙:そうだよアリス☆ 魔理沙:スキあり!(ぺちゃ) アリス:ひゃっ! 魔理沙:アリスを耳攻め~☆ アリス:ひゃーん☆ ぱちぇ:アリス・・・・・・ アリス:ふぇ? ぱちぇ: こちょこちょ攻撃~☆ (こちょこちょ☆) アリス: ひゃふぅ!みゃぁ~・・・やぁん 魔理沙:ね☆ア~リス☆ アリス:魔理沙ぁ~ 魔理沙:ちゅっ☆ (首筋敏感KISS☆) アリス:やぁ、首は弱いの~ こぁ:気持ち良さそうに 寝ちゃってますね~☆ こぁ: 満ち足りた表情が、ス・テ・キ☆ ぱちぇ: つまり愛で満たされたということね こぁ:常識を教え込むには 無理があるのでしょうか? ぱちぇ: 愛は常識で縛られないものよ こぁ:つまり魔法使いというのは、 こぁ: 愛という名の旋律を紡ぎ出す、 神秘の音色なんですね☆ ぱちぇ:ええ、正に 愛の女神の戯れね・・・・・・ The End ← →
https://w.atwiki.jp/kinsho_second/pages/3556.html
前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/とある科学の超荷電粒子砲(プラズマ・キャノン) 第2部 第05話 第一章開戦前(5) やや薄暗さを感じる個室でシットダウン形式の創作フレンチを 2人きりで食べる。 正直な話、そう高くはない。1名30,000円(消費税別)なら普通だろう。 2時間狭くない個室を2人きりで占有し、人件費や食材の事を考えれば むしろ安いくらいではと私は考える。だけど・・当麻の金銭感覚ではどうだろう。 前に常盤台のランチで40,000円する話をしたら目をひんむいて驚いていた。 まあ言わないほうがいいわね。 でもこうゆう雰囲気をつくるための必要経費は惜しむわけにはいかないわね。 私は当麻との会話を続ける。 「当麻今日はありがとうね」 「可愛い彼女を守るのは彼氏の勤めだよ」 「ありがとう。当麻これからもよろしくね、そしてパパの件お願いね。」 「美琴の父さんか・・、でどうなのさ実際は?」 「ちょっと顔は濃いけど、中身は娘を溺愛するただの父親よ」 「でもさ。。娘を溺愛するならなおの事父親は恋人を敵視するんじゃないか?」 「パパはね仕事がコンサルタントなのよ。だから、人を見極めることはプロ中のプロよ 当麻が信頼に足る人物なんてすぐに見抜くわよ」 「美琴はね・・俺を過大評価しすぎじゃないか?」 「ふふそうかもね。でも後1年もすれば当麻は絶対に変わる。その時には 当麻はいまより遙かに強くなる」 「美琴は強いな。でもさ・・超がつくエリートの美琴と俺は同じゃない。しょせんはレベル0だし。。」 「レベル0だからは忘れよう当麻、当麻の右手をちゃんと評価しない学園都市がおかしい と私は思うわ」 「確かに俺がちゃんと右手に向き合わないといけないんだな。 後2年もすれば、俺も進路をかんがえなきゃいけない。不幸だとか言っても誰も助けて くれない。でも悲しいかな俺はまだ学力すらおぼつかない。だから美琴に助けてほしい」 「当麻は地頭は悪くないわよ、だから少しづつでもやろう」 「ああそうだな。まず英語から頑張るよ。」 「当麻がやる気を出してうれしいわ、私もできる範囲で手伝うから頑張ろう。」 「なあ、美琴のパパはNGワードはあるか?」 「ないわよ。だけど不幸だ・・は言わないほうがいいかな」 「そうだな。大事な娘を不幸な男に預ける父親はいないわな」 「そうよ。だから自己否定はやめよう。それだけで十分よ。 それに取り越し苦労もいらないかな。パパに小細工なんて通用しない。だから堂々と していればそれでいいわ」 「ああわかったよ」 私は、当麻の想いと認識を確認でき、ちょっと前までのあやふやな関係が深まり、はっきり リアルな恋人になりつつあることを感じる。さあてそろそろ部屋に帰るか 「当麻・・そろそろ部屋へ戻る?」 「ああそうだな」 「その前に少し外で空気吸ってきたいけどいい?」 「そうか・・じゃ先に部屋に戻るわ」 さあてとこんな夜中にしょうもないお客様ね。 私はホテルのエントランスを出て携帯で私を呼び出した ほとんど裸の女を確認する。 「こんばんわ、窓のないビルの案内人の結標さん」 「1位の御坂美琴さんこんばんわ」 「別に結標さんなら研究所でもお会いしたのに」 「そんな公的な場では相談なんてできないわ」 「でご用件は?」 「私と戦ってほしい。」 「そんなのそれこそ多摩川の河川敷でもいいし、なんなら研究所でもいいわよ」 私の今回の私的旅行の目的のひとつに隙を見せた時に学園都市で誰が動き出すかを 確認する狙いがあったが、なるほど最強のテレポータの案内人ね・・ これは面倒くさい相手ね。レベル4の中で一番戦闘むきな最強のテレポータ だけど・・不意打ちじゃないなら今のレベル5ですらない私でもどうにでも なるわね 「無駄じゃない。能力発動の瞬間にその座標の空間を爆砕できるような化け物に 戦いを挑んでも。」 「私の事をよくご存じね。学園都市では勝ち目がない。だから、私が誓約書に しばられたこのタイミングで襲うと?」 「さすーが回転早いわね。そう。そのとおりよ。それにある意味対等じゃない。 今はレベル4どうし」 「そう・・まあいいわ。攻撃しなさいよ」 「あら・・レベル5でないくせに余裕かまして。いいわお言葉にあまえ・・」 結標は、急に頭を抱えて苦しみ始める。 「御坂さん何を?・・・」 「キャパシティーダウンて知っている?」 結標は、頭痛に顔をしかめながら息も絶え絶えに言葉紡ぐ。 「え?ふう・・あのテレスティーナが・・・か・開発した・・ 能力者・・の演算・・・を特殊な・・・音波で・・・妨・・害するそ・・装置 ・・のこと?」 「ええ・・あれね私の能力で再現できるのよ」 「/ええ・・・そんなうそ・・み・・御坂さんは確か、で・・電撃をベースにプ・・プラズマ を扱う能力者では?」 「私はね、能力の汎用性でも有名なのよ。だ・か・ら電気で再現できることはほぼすべて できるのよ。だからスピーカ機能もあるわ。超音波も含めてね。どうする?もうあなた の勝ち目はないわよ」 「あ・あ・・やっぱり・・ダメね。ええ降参するわ」 結標は、片手で頭を押さえながら、片手を上げて降参の意を示す。 「じゃ・・止めるわね。」 「ふ・・苦しかった。反則よねキャパシティダウンが使えるなんて・・」 「まあ外ではか弱い女の最後の手段よね」 「謙遜のつもり?そこはかとなく自慢と嫌味に聞こえるわね」 「まあいいじゃないの。別にこんなの大した話じゃないわよ。 それはそうと、私に勝ってどうする気だったの?無断外出は犯罪よ本来ならね」 「協力してほしかった。」 「は?そんなの口で一言いえば済む話じゃないの?」 「そう?私は学園都市最強の貴女に私の覚悟をしってほしかった。」 「は・は結標さんはツンデレさんなんですね。で私に何を協力してほしかったの?」 「ツリーダイアグラムを利用した人工知能による超能力開発の可能性の探求」 「で・・危険きわりない人間を利用した、超能力開発の中止をアレイスタに直訴する?」 「え・・なんでそこまでわかるの?」 「なんででしょうね。私はね、耳はいい方なのよ」 「そこまでわかっているなら話は早い。どうなの?」 「理事長のプランとは直接関係ないわね。まあそうね。ちょっと時間をくれない。 悪いようにはしないから」 私は、スマートフォンを取り出し当麻の電話番号を選択する。 「もしもし当麻、人生の岐路で悩んでる女の子が私に相談しに来たのよ。ちょっと一緒に話を 聞いてくれない?」 「美琴は女の子に大人気だな。いいよ。ちょうど退屈だったし」 当麻は2分で小走りでかけつけてくれる。 「美琴、人生の岐路で悩んでいる女の子は?」 「この薄着の子よ、霧が丘高校2年在籍の最強のテレポータ、結標淡希さん、 レベルは4だけど実質レベル5よ」 結標は美琴の行動がいまだに理解できず質問する。 「御坂さんなんで上条さんを呼んだの?」 「私はね大事なことは当麻に相談することにしたのよ。口は堅いから信用して」 結標は、美琴と当麻のまるで夫婦のような行動に目を丸くする。 美琴は当麻の顔を見てしゃべり始める。 「じゃ・・当麻結標さんの事情を説明するから意見をくれる?最終判断は私がするけど」 「ああ」 「結標さんは、前にテレポート中に事故を起こして、大怪我をしている。それ以来学園都市の 能力開発の危険性に関して内心相当な危惧と不信を持っている。そしてその解決策として AIを使用した超能力開発が可能かどうかをツリーダイアグラムで検証したい。 で私にコンタクトをとり、ツリーダイアグラムを利用する権限の付与と、AIで超能力開発 できるかどうかの検証を私が行ってほしい。ということでいいかしら?結漂さん?」 結標は、美琴が機密事情をしゃべりだし呆気にとられる。 そしてようやく一言返す。 「ええ、おおむねそのとおりよ」 「さて当麻私はどうするべきかしらね?学園都市1位で、プラズマ応用電磁力研究所の 副所長でAI兵器開発主任の私は?わたしが彼女の言う事を聞けば、今の研究の開発 計画の遅れと、莫大な延滞金を覚悟する必要がある。 それに、既存の研究機関からよく思われないわね、AI開発者の私の手柄になるわけだし。 下手すれば230万人全員を敵にするかもね」 結標は唖然とする。自分の悩みはほぼ結論が出ていることに気が付く。 「え?御坂さんそれって・・」 「そうよ。AIM拡散力場そのものはまだ完全には再現はできないけど、能力を工業的に 再現することはほぼ可能よ」 「当麻どう思う?」 「美琴 難しいことはよくわからないけど、結標さんが自分で納得できるならそれでいいん じゃないか?それに急いでもしょうがないだろう。」 「ええ、結標さんの考えていることは、学園都市の高位能力者なら考えない人はいないわね。 自分の強大な能力の危険性、能力開発の危険性、怪しげな実験の危険性。でも全部一辺には 変えられない。」 当麻は、美琴の立場と考えを整理する。上条当麻は、本質的には 頭の回転は速く、本質をとらえること は優れている。その上条当麻が最適解を導き出す。 「美琴、結標の考えを研究に紛れ込ませられないかな?」 「そうね。全部を変えるのはできないわね。でも方向性は正しいと私は思うわね どうせAIの可能性なんて早いもの勝ちだしね。いいわよ。十分採算も合うでしょ。 大きく考えて小さく始め早く学べでいいんじゃないかな。結標さん、どうだろう、 しばらくは私に任せてくれない。それで当麻が証人よ。結標さん」 「御坂さん、ありがとう。」 結標は感極まって泣き始める。 「じゃ・・淡希・・また会いましょう。プランはあとで連絡するわ。」 美琴と当麻は、淡希を見送り、部屋へ戻る。 「当麻ありがとう」 「え。俺は特に何もしてないけど。」 「そんな幻想はぶち殺すなんて言わなくても当麻がそばにいるだけで私は安心する」 「そうか・・」 「自分ひとりだけでなく、当麻という支えてくれる人がいるだけでこんなに気がらくに なるなんて驚きだわ」 「でも今回も美琴が全部筋書きを書いて処理した。」 「そうね。でも当麻がいなければあんなに余裕しゃくしゃくとはいかなかったかもね」 「そうか・・であの結標はどうする」 「そうね。元々最新のAI兵器関連は私がらみだった。私は元々AI兵器開発者だから 遅かれ早かれ彼女の問題に向きあう必要はあった。それに問題は彼女がトラウマに どう立ち向かうかなんだから。私の出る幕はあまりないかもね。」 「なんかだましたみたいだな。」 「そお?でも全部一辺に解決はできないし、あの状況では納得させるのが大事よ。実質 レベル5が能力暴走を外部で起こしたら大惨事よ。それにちゃんとケアはするわよ。 もちは餅屋でしょ。食蜂ならなんとかできるかもしれないし、ちゃんと精神科医のケアを受けてもらうわ。」 「そうか・・美琴は交渉の落としどころをちゃんと考えているんだな」 「いや当麻はすごいわよ。私の考えをちゃんと読んでくれた。」 「美琴は本当は怒り心頭だったんだろう?」 「え?」 「俺とささと寝室に行きたいのいきなり勝負しろじゃな」 「え・・わかっていたの?」 「美琴はね、表情がわかりやすいんだよ。自分では喜怒哀楽を隠してクールなつもり だろうけど、全部顔にでるんだよね。クセは知ったほうがいいぞ」 「えそうなの?気をつけないといけないわね 勝負師失格だわ」 「いや否定しているわけじゃない。勝負は敵を知るだけじゃないよな?己を知ることが 大事だ」 「彼を知り己を知れば百戦殆うからずね」 「美琴は孫氏も知っているんだな。正直すごいよ。俺は学識の面では足元に及ばない。 お互い己知り、少しづつ変えて行こう」 「やっぱり当麻てすごいわね。孫氏なんて知っているなんて やっぱりダイスキだわ。遅いしいい?」 「美琴は緊張するとしたくなるんだな」 「そうねなんか勝負すると無性にしたくなるのよね」 「そうか・じゃ」 「ハイこれちゃんと付けてね」 2人は生命力の戦いをはじめ、その戦いは終わることもなく 延々と続く、 そして2人のいちゃいちゃは尽きることはなく、夜は更けていく。 10代のしかも抜群の体力を持つ2人の営みは何度も延長戦を繰り返し きりがない。 最後2人が果てたころにはもう早朝という時間になっていた。 ・・・・・・・ 8月8日 (土) 「はあ・・あんまり眠れなかったな。」 2時間くらいだろうか?結局あまり眠れなかった。 当麻は何度も自分だけ充足し、最後の1回になってようやく私を満足させた。 そのころには2人とも体力の限界を迎え、ベッドでぴっくりとも動かなくなった。 当麻は疲れ果てたのだろう。まだ寝ている。 はあ・・疲れたな・・でも気持ちよかったな。 私は、昨日自販機で買い冷蔵庫で冷やしたキリンの紅茶500MLを飲む。 今日は夕刻6時に確実に南ゲートへ到着する必要があるので夕方の東名町田インター周辺の渋滞を考えると3時にはでなければならない。 (遊べるのはせいぜい午前中だけだな) 私はまだ寝ている当麻を横目でみながら、キャリーバッグを開けて今日の服に着替える。 白地に青の模様が混じったスカートにブラウス・・まあパパならいいか?今日はオフだし。 さあて、私はホテルのエントランスから浜辺へ向かう。遠くに江の島があり、いかにも湘南 な雰囲気が非日常の雰囲気を醸し出し、気分よく歩きだす。 朝6時だが、もうサーファが朝日を浴びて波乗りをしている。 私は、浜辺の公園の机の上にノートPCを広げ、決裁案件の滞留がないか確認する。 黒の画面に切り替わりプログラミング言語が急速にスクロールをはじめる。 わずか10分ほどでひととおり実験リポート、稟議、経費精算を確認し、電子決裁を 終え、滞留分を処理する。 さあて業務終了と、私は背伸びをし、ノートPCの画面を消す。 さあ・・今日は想いでを作ろう。 ・・・・・・・・ 私と当麻は東名高速を町田方面へタクシーで移動している。 午後3時太陽は少し傾きはじめているがナビの温度計は36度を示し相変わらず残暑は厳しい。 「当麻、今日はあんまり元気ないわね」 「美琴はタフだな。今日も元気一杯でさ、しかも睡眠時間2時間、美琴て化け物か?」 「まあ普通の女の子よりは体力あるわね。間違いなく常盤台では1番だったわ。」 「それって・・学園都市でも女子のトップクラスでは?」 「そうかもね」 「は・・これだから 何が能力と学力以外は普通の女の子だよ。体力も財力も 普通じゃないよ」 「そうかな?でも当麻の右腕ほどじゃないわよ」 「美琴くらいだよ。褒めてくれるのは」 「当麻・・?無自覚は罪よ」 「そうか?告白したのは美琴だけだぞ。宿題を教えてくれたのも、金銭援助したのも、そして 俺をダイスキだと言葉で言ったのも、俺を褒めてくれるのも」 「そう・・でもよかった。私が当麻の初めてで」 「ああ俺も自分が美琴の初めてでよかった」 「じゃ・・今日は後は頼んだわ」 「美琴パパね。動画は見せてもらったけど、正直怖いぞ?」 「大丈夫よ・・本当は優しいパパなんだから」 「そうだな。」 タクシーは土曜日の午後のわりにすいている、東名町田インターを4時におり、南ゲートへ向かう。 「当麻・・服でも買おうか?」 「え?いまさら・・」 「まあいいじゃない。あの量販店でさっさとスーツでも買おう。」 美琴は国道16号沿いの量販店で、タクシーを降りる。美琴は男物と女物のそれっぽいスーツを選び、 変えズボンと合わせて15万円で購入する。 「まあ形式だけど、大事なものよ」 「そうか・・」 「美琴はマメだね」 「最後の瞬間まで努力をおしまないだけよ」 「そうか」 美琴はスマートフォンの着信メールを能力で確認し内容を読み取る。 「あ当麻ママと合流しよう。ママが南ゲートへ到着したみたいだから。」 美琴は買い物中に予約したタクシーを見つけ、当麻と一緒に後部座席にのる。 タクシーは町田周辺の買い物客で混雑した雑踏を30分で抜け、南ゲートへ進む。 さあついたわ・・ 御坂美鈴は、南ゲートそばの、和風の居酒屋を予約していた。そこの広めの個室が予約席だった。 予約席は、宴会を開けそうな程度には広く、ゆっくり酒を飲めそうな、隠れ家のような雰囲気だった。 まだ5時30分で静かな雰囲気で落ち着いて話ができそうだ。 が・・あれ?パパはともかく知らない人がいるんだけど?誰?それに上条詩菜さんもいる。 え?ひょっとして・・これって見合い?じゃ・・当麻の・・? 知らない男性はいきなり右手を差出し握手を求めてきた。 その男はきっちと仕立てのいいビジネススーツを着こなし、ダンディーでカッコのイイ 仕事ができそうな中年男で、美琴も少しときめいてしまうほどだ。 「御坂美琴さんですか?」 私は上条当麻が驚愕の表情を浮かべている事に気が付いた。 「なんで父さんが日本に?」 当麻に父さんと呼ばれた男は私に身分を明かす。 「ええ私は上条当麻の父親の上条刀夜といいます、今日はよろしくお願いします」 パパへ恋人を紹介するはずだった場は、見合いの場へ変わってしまった。 (謀られた・・・) 母親の性格と行動力を考慮すればこの程度は予測しなきゃいけなかった。 (まあ いいか・・) 私は過酷な開発になれているせいで、少々の困難はいいほうに解釈するクセがついている。 遅かれ早かれ上条当麻と婚約、婚姻する以上その日が少々早まったと考えればいいだけの 話だ。 それに上条当麻と御坂美琴に残された平和な時間はもう終わりが近いのだから。 主婦兼学生にするには惜しいほどの才幹を有する御坂美鈴だ。 根回しと裏工作はすべて完了済みだろう。 そして私と上条当麻の婚約・婚姻は規定路線だろう。 私は心の中でこの茶番劇を仕組み、娘を溺愛する母に感謝をする。 お母さんいままで育ててくれてありがとう。 私は上条当麻と婚約します。そして、2年後にはかならず婚姻します。 そして、どんな困難があろうとも、どんな不幸が彼と私を襲うともそれに立ち向かい 必ず幸せをつかみます。 続く 前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/とある科学の超荷電粒子砲(プラズマ・キャノン)
https://w.atwiki.jp/kinsho_second/pages/2692.html
前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/とある二人は反逆者 第1章 ①二人の出会いと別れ 「あのー美琴さん、一つ言っておかなければならないことがあるんですが…」 「何、と、当麻?」 二人で学園都市に反逆すると誓い想いを通じ合わせた時から、上条と美琴は互いの名を下の名前で呼び合うようになっていた。 まだ美琴のほうはイマイチ上条を下の名で呼ぶことが覚束ないが、それでも最初の頃に比べたらずっとマシだった。 そんな二人は上条の住む寮に向かっている最中である。 そして上条は美琴に伝えなければならないことがあった。 結果として美琴のことを傷つけることになるかもしれないが、 それでもこの問題を置き去りにして二人の関係を前に進めることは出来ない。 上条は意を決して美琴にあることを打ち明けた。 「実は俺の部屋に居候が一人いるんですが、なんて言うかその…実は女の子なんだ」 「え?」 上条と美琴の間に少しの間、沈黙が流れる。 上条はどう説明すればいいか悩むが、自分の現状を正直に伝えた。 「本当のところは何で俺がその子…インデックスと同居してるかも分からない状態なんだ」 「もしかしてそれって?」 「ああ、どうやら記憶喪失になる前の俺が助けたみたいで」 上条は少し俯きながら答える。 上条の抱えるもう一つの問題、記憶喪失… インデックスを救う際に竜王の殺息と呼ばれる魔術をその身に受けて脳が激しい損傷を受けてしまったのだった。 「それで美琴に聞きたいことが…」 「今後もその子と一緒に暮らしたいって言うんでしょ?」 「いや、そうじゃない。 これから学園都市に喧嘩を売るんだ、どれだけ危険があるのか分からないのに関係ない人間を傍に置いておこうとは思わねえよ」 「なら、聞きたいことって?」 「俺は記憶喪失のことをインデックスに話すべきなのかな? インデックスを救ったのは前の俺で、そして前の俺を殺したのも多分インデックスだ。 そのことを知ったらインデックスは傷つくんじゃないかって。 でもインデックスを助けたのは俺じゃないのに、昔の自分を騙ってていいのか分からなくて」 「…私は記憶喪失のことを話したほうがいいと思う。 本当のことを話したら多分その子は凄く悲しむ。 でも本当のことを知らずに生きていくのは、もっと残酷なことだと思うの。 それに私が口出す問題じゃないことは分かってるけど、当麻はその子に拒絶されるのが怖いんじゃない?」 「…美琴の言う通りだ、俺は前の自分と比較されて拒絶されるのを心の何処かで怖がってたんだ。 ハハ、何ていうか情けないな」 「そんなことない!! 記憶を失って不安にならない人なんていないもの。 だから辛いことや不安なことがあった時は私を頼って。 当麻が私を支えてくれてるように、私も当麻のことを傍で支え続けるから」 「そうだな、美琴が一人じゃないように俺も一人じゃないんだよな」 「うん!!」 そして二人はインデックスの待つ上条の部屋へと足を踏み入れるのだった。 「とうま、おかえりー!!」 上条が部屋に入ると、インデックスが笑顔で出迎えてくれた。 しかし上条の後ろに立つ美琴を見ると、インデックスの表情が険しいものに変わる。 「…クールビューティーじゃないよね? 誰かな、その短髪は?」 インデックスはギラリと歯を覗かせて上条のことを睨みつける。 いつもの上条ならそれだけで臆するところだが、今日は例え噛み付かれてもケジメをつけなければならない。 「彼女の名前は御坂美琴、俺の恋人で大事な人だ」 「え?」 その言葉を聞いた途端、インデックスの表情がみるみる青褪めていくのが見て取れた。 (やっぱり、この子も…) 何となく美琴は予想していたが、目の前のシスターもやはり上条のことが好きなのだ。 このシスターもきっと上条に命を救われたのだろう。 そう思うと罪を背負った自分が上条の特別になっていいのか迷うところだが、他ならぬ上条が傍にいると言ってくれた。 だから後は上条の判断に任せよう… 美琴は二人の成り行きを見守ることに決めたのだった。 「取り敢えず上がろう。 インデックスに話さなければならない大事なことがあるんだ」 すっかり意気消沈したインデックスの後に続いて、上条と美琴は部屋に足を踏み入れる。 テーブルを囲んで座ると上条はインデックスに自分が記憶喪失であること、 そして美琴のことは絶対能力進化という実験の中で支えてあげたいという気持ちから好きになったことを正直に話した。 上条の話を黙って聞いていたインデックスは話が終わると呟くように言った。 「…そっか、あの時のとうまはもう居ないんだね」 「…すまない」 「謝らないで、とうまは何も悪くないんだから。 ただ出来ればあの時の病室で正直に話してくれたほうが良かったかも」 「騙してて悪かった。 インデックスのためだと思ってたけど、結局自分が拒絶されるのを恐れてただけなんだ。 そしてこんな形でインデックスの幻想を殺すような真似をして、俺は…」 「だから謝らないでって言ってるんだよ。 むー、今のとうまは少し卑屈すぎるかも…」 インデックスは俯く上条の頭を撫でながら言った。 「でも前のとうまも今のとうまも底抜けに優しいことは変わらないんだよ。 そしてその優しさが今は短髪に向かってることも分かってる。 お邪魔虫な私は早く退散したほうがいいのかも」 「…俺と美琴はこれからかなり危険なことをしようとしている。 中途半端な形でインデックスを傍に置いていても、却って危険な目に遭わせるだけだと思う。 でもインデックスに何か危険が迫った時は必ず助けにいくから」 「とうまならそう言うと思ったんだよ。 でも今のとうまの一番大切な人は短髪なんだから、そのことを忘れちゃ駄目かも」 「ああ、分かってる」 するとインデックスは上条から美琴の方に向き直って言った。 「短髪…ううん、みこと。 とうまは誰にでも優しい女たらしで苦労することもたくさんあると思うんだよ。 それに無茶をしてみことに心配掛けることもたくさんあると思う。 でもとうまは必ずみことの所に帰ってくるから、とうまのことを支えてあげてね」 「うん、分かった。 あなたの分も私が当麻のことを支え続けるから。 それに当麻を危険なことに巻き込もうとしてるのは私なの。 …ゴメンね」 「とうまはこっちの都合に関係なく首を突っ込んでくるから、却って最初から傍にいたほうが危険は少ないと思う。 二人が何をしようとしてるかは分からないけど、お互いに支えあって頑張って欲しいんだよ」 「…ありがとう」 そして上条はステイルに連絡を取って翌日の飛行機でインデックスはイギリスへと帰っていった。 ステイルに思いきり殴られたが、上条はその痛みを忘れずに前に進もうと誓った。 そんな上条が学園都市からの一時的な退去を命じられたのは、その日のことなのだった。 前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/とある二人は反逆者
https://w.atwiki.jp/indexorichara/pages/807.html
「なっ・・・!!!」 「・・・!!!」 制服の代金を支払って視聴覚室に戻ってきた界刺と不動は絶句した。 そこには見るも無残な“服だったもの”が散乱していた。何か鋭利な刃物で切り裂かれたかのような形跡。 それは形製から借りていた彼女の服。どうやら界刺達が離れた短時間の間に 何者かが視聴覚室に潜入し、形製の服を切り裂いたようだ。 「おい・・・おい!!ど、どうすんだこれ!?こんな状態の服をバカ形製が見たら!!」 「まずい所の話では無いな。私達は奴の『分身人形』で大きな報いを受けることになる」 「冷静に分析してんじゃねえよ!!何落ち着いてんだ、お前!」 「落ち着かなければ何も見えん!!どうやらこの光景を生み出した犯人は、 私達が代金を支払いに玄関先へ向かった隙を狙って犯行に及んだのだろう。所要時間は6~7分程度。ならば・・・」 「そうか・・・。まだ犯人は遠くへは逃げてねえってことか!」 「その可能性が高い。得世!」 「わかってらあ。俺の『光学装飾』の出番だ!!アホ形製の肩を持つわけじゃねえが、 服に粗相をしでかした奴は誰だろうが許しゃあしねえ!!」 そうやって界刺は周囲から放たれている赤外線を探り始めた。界刺の能力『光学装飾』によるサーモグラフィ走査である。 幸いテスト期間中ということもあって、現在成瀬台に通う高校生のほとんどは帰宅している。 この現状で校内に残ってる人間で視聴覚室近辺にいる人間はまず怪しい。そう考え走査を開始した界刺だったが、 「はっ!!!・・・・・・」 「どうした得世?怪しい奴が見付かったのか?」 奇妙な声をあげた界刺を怪訝に思い不動は質問したが、界刺からの返答は無い。見ると界刺の顔中に汗が吹き出ている。 「!!ま・・・まさか・・・!!」 不動はある可能性を思い描いていた。今考えられる最悪の可能性を。そして数十秒後、最悪の可能性が2人の前に姿を現す。 「これはどういうことかな、バカ界刺?それに不動さんも? 何でこの男の記憶にあたしの大事なコレクションを切り裂いている映像があるのかな~?」 金髪のセミロングにハート型の髪留めを付けた、常盤台中学の制服を着た少女が視聴覚室に入ってきた。 後ろに成瀬台高校の服を着た男を引き連れて。どうやら男は彼女の能力で洗脳状態にあるようだ。 「い、いや、違うんだ形製!!これは不慮の事故というか何というか!!」 「さ、さすがは俺のライバル!!今から俺がその男を華麗にとっちめるつもりだったのになあ!!ハハハ!!!」 不動は慌てて言い訳を、界刺は笑いでごまかそうとする。しかし、彼女―形製流麗の冷め切った笑顔は一向に崩れない。 「フム。確かに不動さんの言う通り、この男が原因みたいね。第一、こいつは成瀬台の生徒じゃ無いし。 ついでに2人の制服を盗んだのもコイツよ。『不良っぽい奴の制服を盗め』って命令されていたみたい」 「何だと!?・・・というか何故私が不良扱いされているんだ!!心外極まりない!!」 「さ、さすがは俺の宿敵!!これから俺達の制服を盗んだ野郎をブッ飛ばすつもりだったのになあ!!ハハハ!!!」 思わぬ形で2人の制服を盗んだ犯人が判明したのをいいことに、話題転換を図る2人。だが、 「でも、それとあたしのコレクションがこんな状態になっているのって関係ないのよね。 そもそも制服の代金を支払いに行く時に一緒に持って出ていたら、こんなことにはなってないしなあ」 「「(俺(私)達の記憶も読んでいる!?)」」 すでに2人にも『分身人形』が仕掛けられている模様。これで形製には全てお見通しになってしまったのだ。 「す、すまん形製。私の軽率な判断のせいで」 「チッ・・・悪かったよ。」 「ううん。実はそんなに怒ってないよ。不動さんが罪悪感を感じているのも、この男を捕まえようと努力したのもわかっていますから」 「・・・俺はどうした」 「え?アホ界刺・・・君は何かしたっけ?」 「おい!」 「冗談冗談。君があたしの服を傷付けられたことに対して怒っていたこともわかってるって」 「・・・最初から言えっつーの」 「とりあえず、この高校にも風紀委員の支部ってあるのよね?なら、こいつはそこに突き出した方がいいんじゃないかな? こいつの記憶を読む限り、制服を盗まれたのって不動さんとダメダメ界刺以外にもいるみたいだし」 「ああ、そうだな。そうした方がいい」 何とか形製も怒りを収めてくれたと判断した不動は、今後の対処について考えを巡らし始める。 対照的に界刺は外の空気を吸いたいと思い、部屋の窓に向かった。そんな2人に形製から最後通牒にも似た宣言が言い渡される。 「あ、でもその前に不動さんとボケナス界刺には腕立て・腹筋・背筋を300回ずつやってもらうから」 「「えっ」」 界刺と不動が反応した直後、『分身人形』による洗脳状態に陥る2人。 次に2人が我に返った時は筋肉痛が体中を襲っていることだろう。そんな2人を尻目に形製は微笑を浮かべながら小さく呟く。 「ホント・・・界刺達と一緒にいると退屈しないな」 「くそっ、今日はツイてないな」 ケーターショップで新しく赤色のスマートフォンを手に入れた初瀬は苦い顔をしていた。 何故なら、 「(あの苧・・・何とか・・・何でもいいや。あの女の横ヤリが無ければ、シルバーのスマートフォンを手に入れられたかもしれないのに。 今考えたらシルバーだったよな。まあ赤色でも問題無いけど。ハァ・・・)」 目当てのスマートフォンを手に入れることができなかったからである。 会話だけで振り返ると大体こんな感じ。 『あー!苧環様!これってどうです。シルバーのスマートフォン!!店内の蛍光灯を浴びてキラキラしてる~ハァハァ』 『へえ、いいわね、これ。私もこれにしようかしら?』 『あ~、お客様。大変申し訳ありません。こちらの品は在庫が残り2品しか無いんです。』 『あら、それなら私とこの子の2人で丁度ではなくて?』 『それが・・・あちらの男性のお客様がお買い上げの候補に挙げれていまして』 『ええ~。そんなあ~』 『・・・ということは、まだ決まっていないということよね?』 『お客様!?』 『(あ~、悩む悩む。シルバーもいいけど赤色も捨て難い。う~ん、う~ん)』 『ちょっと、そこのあなた!』 『へっ!は、はい!何でしょう?』 『あなた、このシルバーのスマートフォンを買うの?』 『へえ?あっ、これですか?いや、まだ決定というわけじゃ無いですよ』 『そう。ならいいわ。店員さん、このシルバーのスマートフォンを2つ下さいな。私とこの子の分で』 『ちょっ、ちょっと待って下さい。俺だってこのスマートフォンは結構気に入っ・・・』 『バチバチ!!!』 『うわっ!!』 『私達があなたの悩みに付き合う義理は無い。おわかりかしら?ということで、店員さん。早く契約書を持ってきて下さいな』 「(確かに俺の優柔不断が原因とはいえ・・・ちょっと乱暴的過ぎじゃないか?ハァ・・・)」 少し、いや、結構気落ちしている初瀬。家まで後10数分という距離まで来ていた丁度その時、 「(うん?あの茶髪の女の子・・・確かさっきの女の隣にいた・・・)」 初瀬の視線の先にはケータイショップで偶然会った少女―月ノ宮向日葵がいた。何やら危うい恍惚顔を浮かべている。 「ああ~太陽光を反射したミラー・・・いい。ハァハァ」 「(何か近づき難い空気だな。・・・無視して帰るか)」 関わると碌なことにならないと判断した初瀬は踵を返そうとする。その刹那、 「どりゃあああ!!!“速見スパイラル”!!!」 「きゃあああああ!!!」 男の大声と月ノ宮の叫び声が初瀬の耳に入った。振り返るとさっきまでいた少女の姿が無い。 初瀬は走り始める。月ノ宮を助けるために。 「(今の叫び声・・・あの女の子の声!!それに“速見スパイラル”って・・・まさか!!)」 『一般人への傷害容疑の参考人として取り締まりを受けているそうだ』 『ターゲットは不良だけじゃねえってことさ』 椎倉の推測を今一度思い出す。速見を貶めようとした犯人は、一般人へ危害を加えている。今も尚。 初瀬は走りながらも己の推測に肉付けをしていく。ならば、あの少女にも・・・ 「(くそっ!!関わらないようにしようと思った俺の判断ミスだ!!頼む。無事でいてくれ!!)」 猛然と走り続ける初瀬。その時、初瀬の周囲にも及ぶ程の強大な電流が迸った。 「うわっ!!」 思わず目を瞑る初瀬。数秒後、電流の発信源から泣き声と大声が聞こえてきた。 「うぇ~ん。苧環様~。私、私、すっごく恐かったです~」 「もう大丈夫よ、月ノ宮。この私が来たからにはもう安心よ。本当にごめんなさいね。肝心な時に傍にいてあげられなくて」 「そ、そんなことないです。私が光るものに気を取られて苧環様とはぐれちゃったから・・・」 そこには月ノ宮ともう1人、ケータイショップで初瀬と口論になった少女―苧環華憐がいた。 そして、もう1人、成瀬台高校の服を着た強面の男―模部駄茂武蔵がのびていた。 「ビリ・・・ビリ・・・何か快感になりそう・・・。ビリ・・・」 「あら、そんなに楽しみたいのなら、今度は手加減無しの電流を浴びてみてはいかがかしら?」 「ちょっ、ちょっと待って下さい。そこのお二人さん!!そいつにはそれ以上手を出さないで下さい」 とどめを刺そうとする苧環を慌てて止めに入る初瀬。 「あら、誰かと思えばさっきケータイショップにいた・・・。ん?この男と同じ制服・・・。成程、こいつはあなたの仲間ということかしら? そして月ノ宮を襲ったのは、さっき私達にスマートフォンを先取られたことに対する復讐といった所かしら?」 「ほ、本当ですか苧環様!?こ、こっちにこないで下さい。この卑劣漢!!」 「は?ち、違いますって。俺は成瀬台高校の風紀委員です!んで、そいつには聞きたいことが山程あるんです!」 苧環と月ノ宮2人から変な誤解をされ掛かる初瀬は慌てて自分の身分を示す。そして、2人に事情を説明する。 「へえ~。そんなことがあなた達の高校で。その速見という人もとんだ災難ね。そして、私達はそのとばっちりをくらったと」 「・・・そうなりますね。その点に関しては何の弁解もできません。本当にすみませんでした!」 苧環と月ノ宮に頭を下げる初瀬。もし苧環がいなかったら最悪の事態に発展していた可能性もある。 その可能性を頭に浮かべ、苦渋の顔をする初瀬。そんな彼に苧環から毅然とした声が掛けられる。 「勘違いしないで下さる?私は別にあなたの罪悪感につけ込む気は更々無いの。単なる事実として言っただけ」 「で、でも」 「それに、あなたは月ノ宮を救おうと動いてくれた。それだけで、私はあなたに感謝しているの。 だから、余り気にしないで頂戴。それに、他人に危害が及んだ時、咄嗟に『助ける』という選択肢をとれる人間って案外少ないものよ。 だからこそ、迷わず『助ける』という選択をしたあなたの行動を私は評価する」 「・・・!!ありがとうございます」 苧環の言葉を受け初瀬の気持ちも幾分軽くなった。月ノ宮も苧環の言葉に何回も頷いていた。 そうこうしている内に、けたたましいサイレンが3人の耳にも聞こえてきた。 「どうやら誰かが警備員に通報したみたいね。いずれここにも警備員が来るでしょう。 さて、これからあなたはどうするの?この男の処遇もだけど」 「とりあえず、この男は警備員に渡します。・・・まあ、その前にこいつを叩き起こして少しでも情報を聞き出すつもりですが。 今回の事態は一刻を争います。情報を聞き出した後、俺は支部に戻って今回のことを報告します」 「成程。賢明な判断ね」 「苧環さん。月ノ宮さん。ウチの騒動に巻き込んでしまって本当にすみませんでした。 とりあえず俺はこいつを叩き起こしますんで、2人は先にお帰り・・・」 「叩き起こすならこうした方が手っ取り早いわよ!」 「ギャアアアア!!!」 初瀬の言葉を中断するかのように苧環の電撃が模部駄を襲う。どうやら模部駄は、今の電撃で不完全ではあるが覚醒したようだ。 「苧環さん!?」 「ここまで来て黙って引き下がれるわけないわよ。ウチの派閥の人間に手を出した以上、 そいつ等には私の手で直接罰を与えないと気が収まらないわ!!」 「苧環様・・・私も同行させて下さい!!」 「月ノ宮!?あなた・・・」 「私のドジが原因ですし・・・何より苧環様のお役に立ちたいんです!決してお邪魔にはなりませんから!お願いします!!」 「月ノ宮・・・わかったわ。あなたの覚悟、しっかり受け取ったわ。あなたはこの苧環華憐が必ず守るから安心して付いて来なさい」 「はい!!」 「・・・」 「ということだから、私達もあなたに同行させて貰うわよ。ああ、前もって忠告しておくけどあなたの意見なんて聞かないから。 もうあなた達と無関係では無くなっているのだし。・・・それとも、ケータイショップでの続き・・・今からする?」 苧環と月ノ宮、2人の少女は何を言っても初瀬に付いて来ると明言した。初瀬はどこか諦めたような顔をしながら、 「・・・わかりました。わかりましたよ!とりあえず、ウチの支部までの同行は認めます。 但し、その後の同行については俺の一存じゃあ決められません。俺以外の先輩達次第だということは、前もって言っておきます!」 「いいわよ。とりあえずはそんな所で。あなたの先輩方には私が話をつけるから」 「苧環様・・・かっこいい」 成り行きで成瀬台高校風紀委員支部まで行くことになった初瀬、苧環、月ノ宮の3人。 警備員に引き渡す前に必要な情報は模部駄から引き出した(苧環の脅し込み)。 そして警備員に引き渡した後、3人は急いで成瀬台高校へ向かったのである。 成瀬台高校に帰ってきた初瀬とそれに随行する苧環と月ノ宮。 3人は早足で真っ直ぐ風紀委員支部に向かう。 その3人とすれ違ったのは、 「(・・・今の思考は?)」 「?どうしたでやんすか武佐君?」 「何だ、またナンパの血が騒いだのかよ?確かに今すれ違った女は結構上物だと思ったが。 ってか何でウチに常盤台のお嬢様連中が?」 荒我、梯、武佐の不良3人組。昼食+昼寝も終わったのでウサ晴らしも兼ねてゲームセンターにでも行こうかと話していた所、 いきなり武佐が立ち止まったのである。 「荒我兄貴・・・。兄貴の教科書やノートを潰した犯人の手掛かりがわかりました」 「何!?それはどういうこと・・・もしかしてさっきすれ違った奴等か?確か常盤台のお嬢様に紛れてウチの風紀委員が1人混じっていたが」 「はい、そいつの思考を視ました。ただ断片的な情報しか」 「いや、そいつはお手柄だぜ紫郎。で、どんな内容だったんだ」 「えーとですね・・・」 話し込む荒我達。そして、 「少し情報が足りねえなあ。・・・こうなったら。利壱!紫郎!これから風紀委員支部に行くぞ!!」 「え?どういうことでやんす?もしかして支部に殴り込みをかけて無理矢理・・・」 「ちげーよ!そうじゃねえ!支部の外から紫郎の能力で盗み視をするんだ。 内部の配置はわからねえが、風紀委員の思考を視れるなら問題ねえ。丁度風紀委員の1人が支部に入っていたばっかだ。 早足で向かっていた所を見ると、何か重要なことがわかったのかもしれねえ。 もしハズレでも風紀委員なら誰でも何かしらの情報は持ってそうだしな。仲間同士共有してる可能性だって十分にある!!」 「さすが荒我君!」 「さすが荒我兄貴!」 「お前らの賞賛はありがてーが、それは犯人の野郎をブッ飛ばしてからにしろ! ここで無駄口をたたく時間も惜しい!さっさと支部へ向か・・・ん?」 「どうしたでやんすか、荒我君?」 「・・・?いや、何でもねえよ。さっさと行くぜお前ら!!」 「了解でやんす!」 「了解!」 「(何だ・・・?どっかから視線を感じたような?いや、この時間帯に校舎に残ってる奴なんてほとんどいねえ筈だし。気のせいか)」 3人が支部に向かった直後、荒我達が去って行った場所の近くに潜み、同時に荒我達の話を盗み聞きしていた者も程無く去っていった。足を少し引き摺りながら。 かくして有象無象共が数奇な運命を経て1つの流れに合流する。 それは、さながらいくつもの小さな支流が合流した、1本の本流のように大きなうねりを伴って。 本流となった流れは留まることを知らぬ激流の如く、あらゆるものを薙ぎ倒して突き進む。 「リーダー!大変です!!模部駄の野郎が成瀬台の風紀委員に・・・」 「ああ、知ってんよ。さっき報告を受けた。あの野郎、ヘマをこきやがって!!」 ここはとあるスキルアトが根城にしている廃墟。ここのスキルアウトを纏めるリーダーが部下からの報告を受けている所であった。 「他にも今日成瀬台に向かわせた奴も未だアジトに帰っていないようで。おそらくとっ捕まったと・・・」 「ヘッ、ってことは何だ。俺らが仕組んだってのもバレた可能性が高いわけだ」 「・・・どうするんすか?」 「どうもこうもしねえよ。こうなった以上風紀委員がいつここを攻めてきてもおかしくねえ。なら取るべき手段は1つ」 「まさか・・・風紀委員と闘り合うんすか!?」 「そうだ。お前らだってハナッからこうなる可能性ぐらい考えてただろ!!腹を括れ!! あんな仲良しこよしの甘ったるい連中の鼻をあかしてやるんだ!!」 「そ、そうっすよね。俺らがあんな温室育ちの風紀委員なんかに負けるわけないっすよね」 「そうだ、そうだ!!」 「俺達の力を見せ付けてやろうぜ!!」 「「「おおおー!!!」」」 リーダーの威勢を受けて部下達も多少はやる気が出てきたようだ。ざわつき始める周囲。そこに冷や水を浴びせるかのように1組の男女がリーダーに声を掛ける。 「ちょっとちょっと。私達をほったらかしにして話を進めないでくれる? 確かに私は能力者狩り専門だけど、風紀委員とまで闘り合うなんて想定していないわよ?」 「俺も同感だ。確かにアンタの依頼を請け負っている身だが、これは契約の外側じゃ無えか? それに、風紀委員と闘り合うとなるとアシが付く可能性があるんだがな」 1組の片割れ、ミリタリー系の服装を着る黒髪の少女の名は五十部晈花。 もう一方の片割れ、190cm超の巨体に奇妙なマスクを被っている青年の名は捩野。 この2人は能力者狩りを専門に請け負う、または自身の意思で狩る者達。今はここのスキルアウトに雇われているようだ。 「・・・できるだけこうならないように慎重に事を運んでいたんだがな。バレちまったモンはしょうがねえ。 アンタ等は不服かもしれねえが、どうか力を貸してくれねえか?金は惜しまねえからよ。頼む・・・!!」 2人の抗議に対し頭を下げるリーダー。部下達もそんなリーダーに応じて五十部と捩野に頭を下げる。 「・・・いいだろう。一度請け負った仕事を途中で放り出すのは性に合わねえ。それに大の男が頭を下げる頼み・・・聞き入れねえわけにもいかねえしな」 「・・・ったく。しょうがないわねえ。捩野がOKするなら私も異論は無いわ!但し、追加料金はきっちり払ってもらうからね!!」 どうやら五十部と捩野も渋々納得したようだ。ホッとする部下達。そんな部下達の気を引き締めるようにリーダーは檄を飛ばす。 「さあ、ボケっとしてる暇は無えぞ!!奴等がいつここに攻めてきてもいいように準備を始めろ!!いいなテメェ等!!」 「「「了解!!!」」」 リーダーの号令を受けて部下達はせわしなく動き始める。五十部と捩野も同様に。 数分後、1人になったリーダーは、 「お前ら・・・今度は、今度こそ俺を見捨てないよな・・・?」 過去にスキルアウトのリーダーを務めた経験を持ち、仲間に裏切られ、それでもなお仲間を欲した結果、 新たに幾人もの不良を纏めあげ、再びスキルアウト集団を結成した男―重徳力はそう呟いたのだった。 continue!!
https://w.atwiki.jp/indexorichara/pages/1041.html
金束晴天は、常盤台に通う中学2年生である。とある財閥の令嬢なのだが、幼稚園の頃から学園都市で生活していたせいか、お嬢様っぽさ皆無である。 彼女自身、親の期待に応える為に必死になって勉学・能力開発に努め、結果無事に学園都市において5本指に入る名門校常盤台中学へ入学することができたのだが、 入学してみたら周りには派手な能力ばかり。その上、同級生に超能力者が居るという現実が彼女に襲い掛かった。 入学後に、自身の能力が伸び悩んでいるのも手伝ったのだろう。今では、腐ってはいないもののすっかり“負け犬根性”が染み付いてしまっていた。 金束自身は、この“負け犬根性”というのを割りと肯定的に受け取っていた。常盤台に通う生徒は、総じてお嬢様なせいか矜持(プライド)の高い性格が多かった。 その中で、高過ぎる矜持を捨てることで何かを為すこともできる筈だ。レベルの高さや能力の強さだけに囚われていては、何時か足元を掬われる。 そう考え、今まで必死こいて生きて来た。その過程で、銀鈴、銅街、鉄鞘というかけがえの無い親友を持つこともできた。 『ブラックウィザード』と呼ばれるスキルアウトから助けたことで、真珠院という後輩を持つこともできた。何時しか、金束自身にも、ある種の自信が付き始めていた。 “負け犬”にしては順風満帆な学生生活を送っていた・・・そんな時に現れた碧髪の男。成瀬台高校2年生の界刺得世。 彼は、金束が定義する『レベルが高いから強いんだ』的な高位能力者では無い。また、自身が持つ能力の強さに溺れていない。その上矜持も高くない。それ故に・・・強い。 事実、一厘・真珠院・津久井浜・苧環・フィーサ・マーガレットの6名がこの男に挑み、いずれもが敗北を喫した。 その姿は・・・かつて金束自身が思い描いていた『自分の在り方』。常盤台へ入学する前の自分が目指していた姿。 “負け犬”でも『レベルが高いから強いんだ』的な人間でも無い。本当の意味で強い人間。自分が憧れて・・・目指して・・・でもなれなかった理想。 そんな、自分にとっての理想に居る男が自分の“負け犬根性”を叩き潰すと宣言した。その言葉を聞いた瞬間・・・金束晴天は微かに震えた。 「・・・1つ聞きたいんだけど」 「ん?何かな、晴ちゃん?」 「・・・ハァ。・・・何でアタシ達との勝負を受ける気になったの?最初は『面倒臭い』って言ってたくせに」 太陽は隠れ、風も強く吹き始めたこの庭には界刺と“常盤台バカルテット”が立っている。 「気が変わったから」 「はっ!?何それ!?」 「『ブラックウィザード』について色々話していた時に、ふと思い出したんだ。君が“負け犬”どうこう言ってたことを。 んふっ、思い出さなかったら君達との勝負を受けるつもりはなかったんだけど、思い出しちゃったからね。 この際、叩き潰しておこうかなって思って。後腐れの無いように、ボッコボコにしとこうって」 界刺が、“バカルテット”の“講習”への参加を認めた理由を聞いて唖然とする金束、銀鈴、銅街、鉄鞘。ようは、唯の気紛れなのだ。 「ンフフ~♪晴ちゃんをボコボコにするんですか~♪・・・そんなことを許すとでも・・・!?ンフフ~♪返り討ちにしてあげます~」 「アタイ達がおまんをボコボコにしたるけん、覚悟しぃや!!」 「私の友達を傷付ける人は・・・絶対に許しませんです!!」 「・・・君等が俺に勝負を挑んで来たんじゃなかったっけ?まぁ、いいや。そんな君達に、1つ忠告しておこう」 「忠告?何よ?」 銀鈴達の言葉に呆れる界刺が言い放つ忠告。それは、真剣勝負の意味。 「今回は、少しだけ『本気』で行くよ?周りが見えなくなる程『本気』を出すわけじゃ無いけど」 「「「「!!?」」」」 界刺の『本気』。それは、『相手を殺す気』。今までの“講習”でついぞ見せなかった『本気』の断片を、 よりにもよって自分達に出すと碧髪の男は忠告して来たのである。 「ど、どうしてよ!?ア、アタシ達なんかより、フィーサや苧環先輩と戦っていた時に出すようなモンじゃ無いの!?」 「ふ~ん。そんなに、俺が恐いのか?・・・最初に俺に見せた威勢の良さは何処へ行った・・・晴天・・・!!?」 「!!!」 界刺の目が、変わった。目は見開かれ、瞳孔も開いている。背丈の関係から自然と見下される形になっているその視線には・・・殺気が含まれていた。 「情けねぇな。たかが、俺の『本気』の断片だぜ?俺と戦うっていうテメェ等の本気度はその程度かよ?ハハッ、こりゃ幼稚園児並の小心さだな」 声にも殺気が含まれ始める。醸し出す雰囲気が一変する。 「だが、何処ぞの“負け犬”よろしく尻尾巻いて逃げるなんて選択肢をテメェ等に与えるつもりは無ぇ。一度、このステージに立ったんだ。 テメェ等がこのステージから降りる手段は2つだけだ。テメェ等が俺をボコボコにするか、俺がテメェ等をボコボコにするか、2つに1つだ」 碧髪の男は、懐から ダークナイト を取り出す。そして、ある赤外線通信を行う。 「これが、さっき言っていた ダークナイト 。テメェ等も、午前の“講習”で見ただろ?」 「そ、それが何だって・・・」 「今さっき、ある赤外線通信を行った。それは、『閃光剣』を起動させるための通信だ。テメェ等には光の“剣”って言った方がわかりやすいか?」 「光の・・・“剣”・・・!!」 「そ、それって・・・!!」 金束達も見た、それは一厘や真珠院が操作する土の塊を融解した光の“剣”。 「これは、千度単位の熱を纏う熱剣だ。当然、人体に当たりゃあ火傷なんかじゃ済まねぇ。当たり所が悪かったら・・・ヤバイな」 「ま、まさか・・・」 「そのまさかだよ。テメェ等と戦う時は、最初から『閃光剣』を使わせて貰う」 『光学装飾』により装飾された『閃光剣』に切っ先を、金束達に勢い良く向ける。 「んふっ、大怪我を負いたくなけりゃあテメェ等も死に物狂いで来い。余力なんて出し惜しみする暇なんて無いぜ? 1つの油断、1つの判断ミスが自分の身を脅かすんだ。全力で俺に挑むんだな」 「「「「・・・!!!」」」」 金束達は、今ここに至ってようやく自分達が置かれた境遇の切迫さを理解する。自分達の甘さを理解する。 相手は、そんな自分達の甘さを見透かすかのように、己が持つ『本気』の断片まで引っ提げて“講習”に臨もうとしていた。 「そんじゃあ、とっとと始めるか・・・」 「ちょ、ちょっと待った!!」 「あぁ?何だ、怖気付いたのかよ?だが、逃げるなんて真似は・・・」 「ち、違う!!さ、作戦タイム!!」 「・・・はっ?」 金束は、自分達の体勢を立て直すために作戦タイムを要求する。 「ちょ、ちょっとこっちの作戦を見直したいだけよ!!に、逃げる気なんて無いから!!本当よ!!?」 「そ、そうそう!!せ、晴ちゃんがあなたから逃げるわけないですよ!!」 「ア、アタイ達が全力で行くことにゃー変わりないけん!!」 「うんうん!!皆さんの言う通りです!!」 金束、銀鈴、銅街、鉄鞘の4名はいずれも冷や汗ダラダラで弁明する。その必死さに、界刺も渋々納得する。 「・・・いいぜ。さっさと作戦を立てて来いよ。言っとくが、逃げるなんて真似を取った時点で俺がどういう行動に出るか・・・わかってるよな!?」 「「「「(コクンコクン)」」」」 「OK。そんじゃあ、作戦タイム開始・・・」 ダダダダダァァァッッ!!!! 「・・・逃げ足はやっぱり速ぇな。さぁて、どんな作戦で来るか。俺も“らしくない”真似をしてるんだ。 少しは歯応えのある作戦を立てて来いよ、“バカルテット”・・・!!」 “バカルテット”の逃げ足の速さにまたも呆れながら、しかし彼女達が立てて来る作戦について思いを馳せる界刺。 その視線の先から・・・金髪の少女が歩いて来る。それに気付くのに然程時間は掛からなかった。 「界刺・・・!!」 「形製・・・」 “バカルテット”相手に『閃光剣』を持ち出した時点で、界刺が『本気』になりかけていることを察知した少女―形製流麗―は疑念渦巻く表情で言葉を発した。 「な、何考えてんのよ、あの男は!?アタシ達に対して、殺す気で来てどうすんのよ!?」 「ど、どうする晴ちゃん!?」 「うん?この風の匂い・・・」 「こ、恐いです。ほ、本気で私達を殺す気・・・そ、そんなの嫌です!!」 “常盤台バカルテット”の面々は、他の常盤台生が見学している一角にまで避難した。 “バカルテット”の緊迫した雰囲気と、金束と鉄鞘が言葉に出した『殺す気』という言葉に、周囲の少女達も騒ぎ始める。 「こ、殺す気・・・!?う、嘘・・・!!」 「ま、まさか本当にそんな真似を!?」 「あの男なら有り得る・・・のか?こ、これは“講習”を止めた方が・・・。で、でもあの男が反発したら・・・私達にまで牙を向けてくるんじゃあ・・・!!」 お嬢様である少女達には無縁の言葉。その言葉が現実となる可能性は、今まで目の当たりにした碧髪の男の実力を考えれば決して低くは無かった。 「か、金束様!!な、得世様が本当にそんなことを仰ったんですか!?」 「さ、珊瑚!!ア、アイツ、アタシ達に『本気』を出すって言って来たのよ!!」 「『本気』!?な、得世様・・・!!どうして・・・!?」 「ね、ねぇ、銀鈴?界刺さんは、本当に『本気』を出すって言ったの?」 「一厘先輩・・・。正確には、少し『本気』を出すだけらしいんですけど、あの人の雰囲気が丸っきり変わって来て・・・」 「・・・!!あなた達に『閃光剣』を繰り出すくらいだもんね。遠目から見ていても、界刺さんの雰囲気が変わったのは感じたけど・・・苧環・・・」 「今形製の奴が界刺さんの所へ行ってるわ。とにもかくにも、それ待ちね」 「あの男・・・。私との勝負では『その気』すら失いかけていたのに・・・!!」 「フィーサ様・・・」 「で、でもあの人、私達が“講習”を辞退するのは許さないって言ってましたです。 “講習”から降りれるとしたら、私達があの人をボコボコにするか、あの人が私達をボコボコにするか、2つに1つだって・・・」 「ど、どうなっちゃうんだろう?遠藤には皆目見当が付きません!!」 「サニー先輩・・・。界刺様は・・・」 「鬼ヶ原さん・・・。あの人がそう言ったのなら、その2つのどちらかしか無いと思います。界刺様は・・・こういう時は絶対に容赦しないです!!」 “バカルテット”の会話に色んな少女が加わり、騒然となり始める。 ここで、1つ確認しておこう。この場に居る少女達は全員レベル3以上の能力者である。 もし、“講習”を中止するべきと判断し、反発するであろう界刺に対して彼女達が束になって挑めば、さしもの界刺でも“講習”を続行するのは困難である。 だが、そんな当たり前の選択肢が、今この時の少女達には存在しなかった。それだけ、界刺という男のインパクトが大きかったとも言えるが。 「く、くそ!!八方塞がりとはこのことね!!で、でもこのままだと・・・」 「元の作戦だと晴ちゃんとせっちゃんが前面で、私と月ちゃんが後方だったけど、あの人の『閃光剣』の威力を考えると晴ちゃんも前面に出るのは危険かも・・・」 「希雨!?そ、それだと世津の負担が・・・」 「せっちゃんの反射神経なら、『閃光剣』もかわせる筈。それに、せっちゃんなら『光学装飾』の大半は“効かない”し。月ちゃんもある意味においては。 でも、晴ちゃんや私は『光学装飾』をどうしても喰らってしまう。あの人の光に惑わされている間に『閃光剣』を喰らったら、それこそマズイわ!!」 「で、でも・・・!!それじゃあ、アタシがアイツに勝負を挑む意味が・・・!!」 「そんなのは、どうでもいいの!!!」 「!!!」 「ぎ、銀鈴さん・・・!?」 銀鈴の大声に金束と鉄鞘は驚愕する。こんな銀鈴は、今まで一度たりとも見たことが無い。 「このままだと、晴ちゃんが大怪我を負っちゃう可能性が高い!!そんな、そんなこと許せるわけ無い!!私は晴ちゃんのためを思って・・・!!」 「それは、違う!!希雨!!アンタは、間違ってる!!アンタは、アタシを思うばかりに世津に危険を押し付けてるだけよ!!」 「ち、違う!!こ、これはちゃんと考えて出した作戦なの!!わ、私はせっちゃんのことも・・・!!」 「だったら、アタシも世津と一緒に前面に出る。世津1人に、危険を押し付けるわけにはいかない!!」 「だ、駄目!!それだけは、駄目!!お、お願いだから・・・!!晴ちゃん・・・私の言うことを聞いて・・・!!」 「そんなお願い、聞けるわけないじゃん!!アイツの目的はアタシなのよ!?そのアタシが前面に出ないってことは、アタシは戦わずにアイツに屈したことになるのよ!?」 「・・・それでいいじゃない」 「・・・希雨?」 金束は、己が親友の言葉に耳を疑う。その親友は、何時しか涙を目に浮かべながら己が親友に問い掛ける。 「晴ちゃん、何時も言っているじゃない。自分は“負け犬”だって。“負け犬”って・・・そういうことでしょ?自分より実力が高い人には、最初から挑まない。 最初から自分の負けを認める。“自分自身”の敗北を。あの人は・・・強い。私達からすれば、あの人は強過ぎる。 そんな人が・・・私達を殺す気で来る。絶対に勝てっこない。も、もしかしたら、今から皆で謝ればあの人だって許してくれるかもしれない。そ、そうだ。その手があった」 「希雨・・・!!アンタはそれでいいの!?幾らアイツがアタシ達より強いからって、最初から何もかも諦めるって言うの!?」 「晴ちゃんが無事なら、私はそれでかまわない!!!」 「銀鈴さん・・・!!・・・・・・」 銀鈴にとって、最優先すべきは金束の身の安全。それは、金束と友達になってからずっと変わらない銀鈴の優先順位。 引き篭もりで友達も居なかった自分を引っ張ってくれた、自分に色んな景色を見せてくれた金束のためなら、銀鈴は何でもする。金束の意思に反してでも。 パアァッン!! 「・・・銀鈴さんは間違っていますです」 「月代・・・!!」 「月ちゃん・・・!!」 そんな視野狭窄に陥っている友を目覚めさせるために、鉄鞘は銀鈴の頬を引っ叩く。 「友達って、そんな程度なんですか?私が今まで付き合って来た友達は、友達の意思を踏み躙ったりするような人間なんですか!?」 眼鏡の奥に見える瞳は、涙色に彩られながらも確かな強さを持ち合わせていた。 「友達が楽しんでいるなら、自分も楽しくなるです。友達が困っているなら、自分が助けるです。その逆もです。 でも、友達が抱く譲れない思いを踏み躙るのは間違っているです。金束さん、銀鈴さん、銅街さん、そして私は共に歩いて来た仲間じゃないですか。 これからも・・・これからも一緒に歩いて行きたいです。かけがえの無い友達として・・・皆さんと共に!!」 金束とルームメイトになって以来、鉄鞘の学生生活は一変した。友達が起こす色んな騒動に巻き込まれた。時には怒り、時には泣き、時には笑い合った。 鉄鞘月代にとって、金束達と過ごす時間は何時しかかけがえの無いものとなっていた。だから、彼女は言う。 これからも、一緒に頑張ろうと。共に居ようと。どんな困難が立ちはだかっても、皆で協力して乗り越えようと。 「(アタシは・・・アタシは・・・)」 銀鈴と鉄鞘、2人の友達の言葉を受け金束は考える。自分が今何をするべきなのかを。 『君は“負け犬”なのかい?“レベルが上がる”なんて誘い文句に身を委ねた連中のように?』 “負け犬”。あの男の言葉が、鋭い痛みを放つ。今まで受け入れて来たその有り様が、何故か今の金束には異物のように感じられる。 「(アタシは・・・“負け犬”なのか?アイツが言う、甘い言葉に誘われて努力を怠るような人間なのか・・・?アタシが・・・?・・・・・・違う)」 例えレベルが上がらずとも、能力が上がるように研鑽を積んで来た。“負け犬”の有り様を受け入れた後も、それなりの努力はして来た(勉学面は・・・だが)。 結果は伴っていない。伴わなければ、意味等無いのかもしれない。でも・・・ 「(もしアタシが“負け犬”なら、希雨の言う通りアイツに土下座してでも謝る選択肢だって考える筈。でも、アタシはそんなことを考えもしなかった)」 胸の内から湧き上がって来る感情。それは・・・対抗心という名の熱き感情。 「(・・・負けたくないんだ。アタシは、アイツに負けたくないんだ!!何でかはわかんないけど、アタシは界刺得世に負けたくないんだ!!!)」 それは、自分が理想とする姿に対しての憧憬に端を発する対抗心であることに金束は気付かない。 “負け犬”になる前の・・・未来に対して光り輝く可能性を期待していた頃の自分が、今の金束晴天の心を強く後押しする。 「・・・希雨。月代。アタシは、アイツに挑むのを止めない。アタシは・・・アイツに負けたくない!!絶対に!!!」 「晴ちゃん・・・」 「金束さん・・・」 一度心に強く決めたのなら、その通りに動く。それが、“常盤台バカルテット”を引っ張る少女、金束晴天の在り方。 「無謀なのはわかってる!!もしかしたら、希雨の言う通り酷い目に合うかもしれない。 でも・・・それでもアタシはアイツに背を向けたくない!!アイツから逃げたくない!!アイツに屈した・・・“負け犬”になりたくない!!! だから・・・皆の力をアタシに貸して頂戴!!アタシは・・・界刺得世に絶対に勝つ!!!」 晴天の名の如く、金束の瞳は爛々と光り輝いていた。その瞳に秘められたるは、『自分の在り方』。絶対に屈さないという鋼の意志。 「・・・わかったよ、晴ちゃん。ハァ・・・一度本気で決めたら私の制止も聞かないんだから・・・」 「希雨・・・」 「でも・・・晴ちゃんらしいかな。ごめんね、1人で泣き喚いちゃって。月ちゃんに引っ叩かれて目が覚めたよ」 「あ、そ、その・・・こ、これはつい手が出ちゃったというか・・・。つ、つつ、つまり・・・ごめんなさいです!!!」 「ううん。ありがとう、月ちゃん。2人のおかげで、私は私の大事な友達を踏み躙らなくて済んだんだもの」 「銀鈴さん・・・」 金束、銀鈴、鉄鞘は互いに笑みを浮かべる。下手をすれば、友達関係が壊れかねなかった今回の衝突を、少女達は見事乗り切った。 「さぁて、後はアイツに勝つだけね!!・・・・・・どうしようっか?」 「・・・・・・本当に晴ちゃんは晴ちゃんだね。計画性が全然無いっていうか・・・」 「そろそろあの人も痺れを切らすかもしれませんです。な、何とかいい案を・・・」 「あらあら、でしたらわたくしがその材料程度は提供させて頂きますわよ?」 「津久井浜先輩!?」 如何にして界刺に打ち勝つか。再び悩み始めた3人に、午前の“講習”にて界刺に敗れた津久井浜が声を掛ける。隣には、菜水も居る。 「津久井浜さんってば、ずっとあの人の戦闘を観察していましたからね。余程負けたのが悔しい・・・」 「あらあら、菜水さん?『発熱爆弾』・・・味わってみますか?菜水さんの肥えた舌に見合うだけの味を備えていると思いますよ?」 「い、いえ!!結構です!!」 思わぬ被害を被りそうになった菜水は、ブンブンと首を振る。 「貴方達は、どういう作戦を立てていますの?」 「え、えっと・・・希雨!」 「・・・ハァ。・・・既に立てていた作戦だと、晴ちゃんとせっちゃんが前面、私と月ちゃんが後方という形ですね」 「何故その戦法に?」 「晴ちゃんは『肉体強化』による白兵戦が得意ですし、せっちゃんは身体能力自体が超人的です。 特にせっちゃんの場合は、『精密処理』によって五感が非常に冴えている関係から、“聴力だけ”であの人の居場所を特定できると踏みました」 銅街の能力『精密処理』は、脳の情報処理能力を飛躍的に向上させる能力で、これによる五感の鋭さは人並みはずれていた。 今回の場合で言えば、目を瞑りながらも戦闘可能という点が重要な要素であった。界刺の『光学装飾』の大半は、目を瞑っている人間には効かない。 銅街の場合は超人的な身体能力も持ち合わせていることから、強力な対界刺得世対策になり得るのだ。 「後方メンバーの選出理由は?」 「月ちゃんは、『絶対嗅覚』であの人の居場所を匂いで特定できます。晴ちゃんや私が『光学装飾』で惑わされても、月ちゃんなら確実に居場所を特定できます。 もし、せっちゃんが戦闘不能になっても、あの人の正確な位置を探れる月ちゃんは後方に。私は、月ちゃんの護衛ですね。いざという時は、私も前面に出るつもりでした」 鉄鞘の能力『絶対嗅覚』は、犬並みの嗅覚を発揮できる能力で、銅街以外に『光学装飾』下に居る界刺の正確な居場所を特定できる人間である。 その正確さだけなら、おそらく銅街以上。但し、戦闘能力はからっきしなので後方に。 銀鈴は、自分の居場所を特定し得る鉄鞘を潰そうと攻撃を仕掛けて来るであろう界刺から鉄鞘を守るために後方に身を置く。そういう段取りであった。 「あらあら、それ程までに綿密な作戦を・・・。これでは、わたくしがアドバイスする余地が無いも同然ではありませんか」 「・・・でも、あの人の『閃光剣』の威力を考えると無闇に白兵戦を仕掛けるのは危険です。何とか、あの人の動きを封じる作戦を考えないと・・・」 「そがなことなら、アタイにいい案があるったい!!」 「せ、せっちゃん!?それ、ホント!?」 「世津・・・。そういえば、アンタ今の今までアタシ達のやり取りに参加していなかったけど、何をしていたの?」 津久井浜と銀鈴が会話をしている途中に、今まで作戦タイムに参加していなかった銅街が割り込んで来る。 彼女は、しきりに空へ視線を彷徨わせていた。雲は急速に黒みを増し、風も生暖かくなっていた。 「もうすぐ、雨が来るとよ」 「えっ!?」 「あっ・・・雨」 そこに、降って来たのは雨。ポツンポツンと、しかし確かに降り出した雨が少しずつ強くなって来る。 「そういえば、今日は午後から少しだけ雨が降るって予報・・・いえ、予言でしたわね」 「そうでしたね・・・。これは、“講習”の方もどうなるんでしょうね?」 津久井浜と菜水が、降って来た雨に関する感想を言い合う。その脇で、銀鈴は銅街の発言の真意を理解する。 「そうか・・・。これなら・・・。せっちゃん、ナイス!」 「こんで、ちーとはアタイや晴天の負担ば軽うなるやろ?」 「せっちゃん・・・」 銅街の労わりが、銀鈴の心に染み渡る。銅街自身、先程の銀鈴の取り乱しようを見て、何とかあの男に勝つ方法が無いか、 その可能性を上げる材料が無いかを必死に考えていた。 その時に思い付いたのが、作戦タイムに入る前に匂った雨の匂い。 銅街は、その鋭敏な感覚と田舎暮らしという経験から、短時間における天気の変化を言い当てることができた。 「うん・・・!!これなら、何とかできるかも!少なくとも、あの人の動きを少しでも封じられる可能性は高い!! 晴ちゃん!せっちゃん!月ちゃん!こっちに来て!!あのね・・・(ゴニョゴニョ)」 「(ゴニョゴニョ)。・・・さすがは、アタシの親友!!これなら、アイツにも勝てる・・・かも」 「(ゴニョゴニョ)。・・・さすがったいね、希雨」 「(ゴニョゴニョ)。銀鈴さん・・・すごいです!!それと、金束さん。『かも』じゃ無くて、絶対に勝ちましょうです!!」 「そ、そうね!!ここまで来て弱気になったていたら話にならないわ!!希雨!世津!月代! アタシ達“常盤台バカルテット”の底力をあの男に見せ付けてやるわよ!!そんでもって、絶対に勝つ!!!いいわね!!?」 「「「おおううぅ!!!」」」 「津久井浜さん・・・。何だか無駄骨でしたね」 「あらあら、そんなことは無いわ。だって、こんな眩しい笑顔を見ることができたんだもの。それだけで、私は満足よ」 「えぇ、そうですね。(自分が何の役にも立たなかったことの言い訳じゃないかしら?)」 「・・・菜水さん?何か、とても不愉快なことを考えておられませんか?」 「い、いえ!!」 “常盤台バカルテット”の威勢に当てられ、周囲の常盤台生にも元気が戻って来る。 この娘達なら何とかしてしまうんじゃないか。そんな希望を思わず抱いてしまう程、彼女達の笑顔は眩しかった。 ピカッ!! 「「「「!!??」」」」 空に光球が浮かぶ。それは、作戦タイムの終了を告げる合図であった。碧髪の男―界刺得世―は雨脚が強まり始める中、雨避けに使っていた木から姿を現した。 「ゴクッ・・・!!時間切れ・・・ね。そんじゃ、行くわよ!!」 「うん!!」 「おう!!」 「はいです!!」 対する“常盤台バカルテット”の面々も雨降る中に身を投じる。いよいよ、最後の“講習”が始まる。 「形製!!界刺さんは何て言っていたの!?」 「形製さん・・・!?」 同時に、界刺の下へ向かった形製が戻って来た。苧環や一厘が駆け寄る中、形製は濡れた髪や制服に気を留めずに“講習”のステージに視線を送る。 「・・・君達もよく見ておくといい。今から・・・界刺の『本気』の断片を目の当たりにできるよ」 「『本気』・・・!!」 「界刺さん・・・・!!」 苧環や一厘が、形製の言葉を受けて視線を界刺に送る。一方、形製は先程の会話を思い出す。 『あいつに染み付いた“負け犬根性”ってのは、ちっとやそっとのことで拭えるようなモンじゃ無ぇ』 『だからって、何も「本気」を出すようなことじゃあ・・・!!』 『俺があいつに関われるのは今日この時だけだ!そんな短い時間の中であいつの“負け犬根性”を叩き潰すためには、 こっちも「本気」の断片くらいは出さなきゃなんねぇ』 『そんなに“負け犬根性”というのが嫌いなのか、君は!!』 『・・・あいつは“負け犬”なんかじゃ無ぇよ。あいつは、“自分自身”に“負け犬”を押し付けてるだけだ。それが・・・気に食わねぇ・・・!!』 『えっ・・・』 『だからこそ、今この時にあいつの“負け犬根性”を叩き潰す!! もし、あいつが本当に“負け犬”なら、それ相応の無様さを披露するさ。それに、“負け犬”じゃ無かったとしても面倒臭いことには変わりねぇ。 これは、それを見極めるための“講習”でもあるんだ。そのために必要なのが・・・「本気」の断片。そういう判断なんだよ』 『・・・“らしくない”ね、今日の界刺は。普段の界刺は、そんなに積極的じゃ無いよ。 無気力でぐーたらで面倒臭がりで。自分に関係無いのなら、とことん関わらないのに』 『・・・俺も何時まで生きられるかわかんねぇしな。あの殺人鬼に目を付けられた以上』 『!!?』 『それに、あの殺人鬼と対峙した時は「本気」で臨む以上、俺も「本気」の出し方を復習しておかないとな。 久しく俺も「本気」を出していないし、ここら辺で慣らし運転をしとかねぇと。まぁ、俺なりの事情もあるんだよ、形製』 『界刺・・・。い、嫌だからね。君が死ぬなんてこと・・・あたしは絶対に認めないからね!!』 『形製・・・』 『あたしは・・・あたしは・・・君が居ない世界なんか、絶対に認めないから!!』 『ふぅ・・・。お前も面倒臭い男に惚れちまったな(ポン)』 『!!?』 『(ポンポン)。まぁ、少なくとも自分から死ぬつもりは無ぇよ。それだけは、約束する。俺の命に懸けて。 んふっ、この台詞は涙簾ちゃんにしか言ったことが無かったな。どうだ、形製。少しはカッコ良くキメれたんじゃない?』 『・・・バカ。それに、気付いていたんなら気付いてたって言ってよ。1人で騒いでいた自分が馬鹿みたいじゃないか。・・・そうだよ、あたしは君が好きなんだ』 『・・・』 『あたしは、君が好きだ。世界中の誰よりも。あたしは、君と共に居たい。君の居ない世界なんて嫌だ。 だから・・・約束して。絶対に死なないって!相手が殺人鬼だろうが何だろうが、絶対に死なないって!!』 『・・・そりゃ、無理だろう。人間何時死ぬかわかったもんじゃ・・・(ムニュ)。・・・!!!』 『(ムニュ)。・・・勝手に約束させて貰ったから。あたしは、君と共にこの世界を歩く。界刺は、約束を守るんでしょ? だったら、この形製流麗の口付け(やくそく)も守ってみせて!!君と共に歩くという、あたしにとって命と同じくらい重い口付けを!!!』 『・・・・・・ハァ。善処はするよ。何せ、お前のファーストキスだし。ちなみに、俺にとってもファーストキスだったがな。まさか、お前に奪われるとは・・・!!』 『な、何だよ!!何か、文句でもあるって言うの!?』 『大アリだ。まぁ、それ程ショックじゃ無いけどな。お前にキスされても、“そっち系”の感情が全然波立たないからな。 んふっ、これなら他の女とキスしても全然大丈夫そうだ』 『なっ・・・!!!』 『華憐にはさっき告白されたし、リンリンや珊瑚ちゃん、嬌看や桜は俺のことが好きみたいだし。いや~、モテる男は辛いね』 『なっ・・・なっ・・・!!!』 『この際、色んな女の唇を味わってみるっていうのもいいかもな。女性不信状態っていうのも、案外悪くないかも。女は強く出れないし、俺も罪悪感を全く感じないし』 『か、界刺~!!!』 『んふっ。ということで今後の楽しみも増えたからさ、それを堪能し切るまでは死んでも死に切れねぇよ。・・・これでいいか、形製?』 『・・・!!!・・・もう。本当に卑怯だよ。バカ界刺のバカバカバカ』 『痛いな~。全くこれだから、バカ形製は・・・。んふっ!』 『・・・フフフ。・・・わかった。君の好きなように戦えばいいよ。あたしは、君を心の底から信頼しているから』 『・・・ありがとな。それと・・・心配掛けて済まねぇ。きっと、これからも掛けると思うけど』 『・・・いいよ。君が生きてくれるなら、あたしはそれだけで十分だ。 君があたしを恋人(パートナー)として選んでくれるなら、もっと嬉しいけど。だから・・・生きてよ?』 『なるたけ頑張る』 形製の視線の先には、“講習”を開始した界刺の姿が映っている。その姿を見て、自然と己が指を唇に乗せる。 自身のファーストキスを贈った男の姿を確と瞼に焼き付けるように、少女は“講習”に集中する。 「(あたしも、もっと強くならなくちゃ!!どんな脅威からも界刺を守れるくらいに!!)」 少女は決意する。愛する人を守れるだけの能力を、己が実力を高めるための、それは決して解けない誓い。 continue!!
https://w.atwiki.jp/kinsho_second/pages/2724.html
前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/とある二人は反逆者 第4章 ②未来を見据えて 昼食の時間になり両親達と合流した上条と美琴は外で一緒に食事を取っているとマスコミに騒がれる可能性が高かったので、 上条と美琴が住む部屋に移動して昼食を食べることになった。 「ここが美琴ちゃんと当麻君の愛の巣ってわけね!! うん、如何にも学生が一緒に暮らしてますって感じが漂ってきていい感じ!!」 「ちょっ、愛の巣って、当麻と私はまだ健全なお付き合いしか…」 「えー、一緒に暮らしてるのに!? 当麻君、美琴ちゃんってそんなに魅力ないかしら? そりゃ確かに胸はお世辞にも大きいとは言えないけど…」 「そこで俺に振る!? っていうかその振り方はないでしょ!!」 「あらあら、当麻さんったら。 当麻さんは目の前にこんな可愛らしい彼女がいるのに手も出せない甲斐性なしのかしら?」 「アンタらの基準がおかしい!! 俺達はまだ学生で、しかも美琴はまだ中学生!!」 「「でも私達の時には…」」 声を揃えて不思議そうにする母親達に上条は項垂れながらも、 母親達に変な倫理観を植えてしまった原因であろう二人を上条はジト目で見つめる。 「母さんは昔から可愛らしくて、つい…」 「当麻君、誤解しちゃいけない。 家の場合は誘ってきたのは美鈴からで…」 あまり両親のリアルな話は聞きたくない上条はそこで話を打ち切ることにした。 美琴に至っては、当麻との赤ちゃん…ふにゃー、とあらぬ方向に妄想が進んでしまっている。 上条は両親達を部屋の中に促し、冷蔵庫の中から冷えた麦茶を取り出すのだった。 「すみません、部屋が狭くて… それに床に座っていただくような形になってしまって」 上条は両親達…特に旅掛と美鈴に申し訳なさそうに言った。 元々部屋に招く予定もなかったので座布団なども人数分は用意してなかった。 「いや、気にしなくて構わないよ。 それにしても午前中の当麻君と美琴ちゃんの画は素晴らしかったな。 ドリンクの間接キスだけで顔を真っ赤にしてしちゃって」 「でも間接キスだけで顔を真っ赤にするなんて、キスもまだってわけじゃないわよね?」 「キ、キスくらいは」// 「美琴、完全に誘導されてるぞ!? 美鈴さんもあんまりからかわないでくださいよ」 「あらあら、当麻さん。 親が子のことを全て知りたいと思うのは当たり前ですよ」 「そうそう、それでキスはどっちからしたの?」 「それは自然とそういう雰囲気になって…」 「キャー、それっていいムードになったってことでしょ? 良かったわね、それだったらファーストキスが一生の思い出になったんじゃない? 私達の時なんて…」 母親達は上条の言葉を聞き入れる気は全くないらしい。 項垂れる上条の肩に、気にするな、と言ったように父親達が手を置くのだった。 「当麻さん、美琴さん、お口に合ったかしら?」 詩菜と美鈴が一緒に作ってきた弁当を囲みながら、詩菜は上条と美琴に尋ねた。 「はい、とっても美味しいです!!」 「当麻さんは?」 「…ああ、凄く美味いよ」 しかしそう言う上条の顔は何処か優れないものだった。 「当麻、どうかしたのか?」 刀夜は浮かない顔の上条を心配するように覗き込んで尋ねる。 「いや、別に心配されるようなことじゃないよ。 ただ、記憶がなくなっても体が覚えてることって本当にあるんだなって…」 上条の言葉にその場にいた全員は顔を見合わせる。 「この弁当を食べてると、どれが母さんが作ったもので、どれが美鈴さんが作ったものかハッキリ分かる。 美鈴さんの料理は普段から美琴が作ってくれる料理と同じ食べなれた感じがして… そして母さんの料理は凄く心が温まる懐かしい味がするんだ」 「…当麻さん」 「不思議だよな、本当はこうやって皆と一緒にいるのは俺じゃなかった筈で… そして居なくなったはずの昔の俺が、こういった感じで時々顔を出すんだ。 そうすると父さんと母さんは今の俺を受け入れてくれたけど、何だか俺がここに居てもいいのかなって少し疑問に思っちまってさ」 「…刀夜さん、詩菜さん、私がこれからとても残酷なことを言います。 許していただけますか?」 「…ああ、この馬鹿息子の目を覚ましてやって欲しい。 それは美琴さんにしか出来ないことだ」 美琴は刀夜の言葉に頷くと、上条の方に向き直り上条の目を見据える。 「美琴?」 そして美琴は上条の頬に思い切り平手打ちを喰らわせた。 乾いた音が部屋に響き渡り、上条は目を丸くしている。 「記憶を失って不安になるのは分かる。 でもね、当麻が自分に対して卑屈になることは許さない。 だって今の私がいるのは、他ならぬ今の当麻のお陰なんだから。 多分ね、昔のアンタも私のことを助けることはしてくれたと思う。 だけど私のことを支えてくれるようなことまでは、きっとしてくれなかった。 多分過去のことも関係あるんだろうけど、昔のアンタは誰かを助けたら自己満足してしまうような奴だった。 だからどうしても関係が一方通行にしかならない。 でも今の当麻は救ってそこで終わりじゃないの、そこから一緒に光に向かって歩んでくれる。 私知ってるんだよ、当麻が隠れてあの天草式の女の子とメールしてるのを…」 「うっ、それは…」 「嫉妬してないって言えば嘘になるけど、当麻が浮気なんてしないことは分かってる。 あの子は私から見ても相当弱ってた、だから少しでも元気付けるようにメールしてるんでしょ?」 「…はい、その通りです」 「そんなこと隠さなくたっていいのに、本当に馬鹿なんだから…」 「ゴメン」 「ううん、謝らないで。 私はそんな優しい当麻が大好きなんだから」 「美琴…」 「今の当麻だからこそ、私は笑って当麻の傍にいることが出来る。 今の当麻は昔のアンタに劣ることなんて何一つない、だからもっと自分に自信を持って!!」 美琴は上条から刀夜と詩菜に向き直ると二人に頭を下げた。 「すみません、分かったような口を聞いてしまって…」 すると刀夜と詩菜は美琴に微笑みかけながら言った。 「いいえ、美琴さんの仰っていたことは恐らく当たっています。 あの子は過去の出来事から自分の幸せに無頓着というか、何処か幸せを諦めている部分がありました。 だから美琴さんの言う通り、他の人の幸せも本当に分かってあげることが出来なかったんでしょう。 美琴さん、今の当麻さんは美琴さんを幸せにできていますか?」 「はい、私は当麻さんと一緒にいられてこれ以上ないくらい幸せです!!」 「全くこんなに想ってくれている恋人がいるのにウジウジと… 当麻が自分のことをどう思おうとも、お前は紛れもない私達の息子だ。 そして詳しい話は分からないが、美琴さんを救ったのも今の当麻なんだろう? 今の私達じゃ当麻の悩みを支えきることは出来ないかもしれない。 でももし自分に対する信頼が揺るぎかけたら隣にいる美琴さんを見ろ。 美琴さんの存在は今の当麻に対する勲章であり支えだ。 自分の守るべきものと自分自身を見失わずに、迷いながらでもいい、前へ進め!! 美琴さんが当麻を横で支えるように、私と母さんは後ろから当麻を支えるから」 「ああ!!」 上条は思わず目に浮かんだ涙を拭って、力強く頷く。 過去の自分と今の自分を比べるのはこれで終わりだ。 これから自分は真の意味で上条当麻として未来に向かって歩んでいく。 そして自分は一人じゃない、愛しい恋人と大切な両親がいる。 この日、自我をしっかりと確立した上条は一人の人間として新たな一歩を踏み出すのだった。 前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/とある二人は反逆者
https://w.atwiki.jp/sake321/pages/24.html
ちびちゃとあるあるとは、ちびちゃとでよくある出来事のことである 出会い厨が必ず最初にいうことば こん→何歳?→何処出身?→へえ→etc 出会い厨は毎回同じようなことしてるけど あれってたのしいのか・・・? ちゃH厨が必ず最初にいうことば こん→何歳?→何処出身?→Hすき?→移動しよ おい、出会い厨と対して変わらねえよ。 喧嘩師が煽りでいう言葉 死ねばいいんですがねえ 雑魚は黙ってろよ うるせーんだけど、しゃべらないで欲しいなあ 俺は最強喧嘩師なんですけど(キチガイ専門) 出会い厨が大抵、「何部?」と聞かれたときにあるあるの返答 サッカー部 バスケ部 本当は卓球なんだろ・・涙ふけよ ビッチな女が纏わりつくフラグだなこりゃ ちびちゃとしよう -- 名無しさん (2013-07-13 09 04 48) あたしは女えろいんだよ -- にしじまさきね (2013-07-15 16 11 44) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/kinsho_second/pages/2516.html
前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/とある不幸なHappy days 選択と決着 終章 独白と幸福 『だから、たまにはアンタからも誘えっての!!』 「美琴サン、『アンタ』に戻ってます。朝っぱらからそんなに怒鳴らなくても」 『モーニングコールいらないのね「いります、ごめんなさい」よろしい』 上条はなんだかんだ言っているが、彼女との会話にニヤニヤしている。 「しかし、しかめっ面は眉間に皺できるぞ」 『うるさいっ!!『あら、御坂さん』あ、婚后さ『なにをニヤニヤと、……ああ、あの時の殿方ですね!!』ちょっ、ちょっと!!!』 増えるのは笑い皺のようだ。 ん? 婚后さん? 「……美琴様、今何時でせう??」 『えっ『あの時は』八時の十分前だけど?『苦戦しましたが』』 「なんで!!? 交代で七時にって約束だろ!!?」 『しっ『最終的には』仕方ないじゃない、ドキドキして通話ボタン押せなかったんだから『向こうから白状しましたわ』』 「美琴かわいいなぁ。……ってちがーう!! それだと遅刻しちゃうでしょオレが!!?」 『そっそれくらい『やはり』受け入れなさいよ。かっか彼氏でしょ『この婚后光子に畏れをなしたのでしょう』』 「かわいいけど、モーニングコールやめるぞ『ごめんなさい。許してください』はぁ」 不幸だ。と呟き、どたばたと準備する。 今までとは異なる朝の風景にようやく慣れてきた。 朝食を要求するインデックスも、朝食をかすめ取る猫もいない。 あの日常が楽しかったことは否定しない。 でも、 『今日はセブンスミストにいかない?』 「……またゲコ太か?」 『ブフゥ!! な、なんのことよ!!』 「また、ちょうどフェアがあるなんて知らなかった~だろ。わかったよ」 こちらの幸せをオレが選んだんだ。 これで周りが泣いたとしても、オレは、オレだけは後悔してはならない。 そして絶対に後悔なんてするわけがない。 『な~にだんまりしてんのよ?』 「……美琴」 『何よ?』 「好きだぞ」 『ふぇ? わっわ、たっ、しも、しゅしゅしゅきにょ!!』 「ははは……」 この道を美琴も歩いてくれているから。 左手薬指にある、キューピッドアローのタグリングが、一層輝いた気がした。 前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/とある不幸なHappy days
https://w.atwiki.jp/worldoftankmemo/pages/37.html
0.9.3 (o = 使用中) MEMO xvm-5.3.5.zip 勝率表示、ミニマップ変更などXVM Configuration Editor 14/09/24 uvelichennoe-vremya-raboty-lampochki-do-10-sekund.7z 6感 表示延長(10秒) 14/09/23 o 8.11_no_intro_video.zip イントロビデオ消し 9.2 o 9.0_Turn_off_the_flame_and_smoke_when_fired.zip エフェクト消し 9.1 o 0.9.3.rar ガレージ戦車複数段表示 14/09/25 o mod_hangar_miniblack.zip スポットライト格納庫 14/09/24 o indikator-summarnoj-prochnosti-tankov-v-komandakh.7z チームHP表示 (/V1使用)_ 14/09/23 novaya-panel-scheta-c-indikatorom-obshchego.7z 14/09/26 o low_grafic_91.rar ポリゴン軽量化 9.1 o minimap-locastan-no-HD.7z ミニマップ拡張 (no XVM) [Mmap.xml 修正] 14/09/25 o SvPW-093.zip メアドパス保存 (ASIA) 14/09/25 o mod_belue_trypu.zip 壊れた戦車を白色 14/09/24 o indikator-urona-pulja.7z 撃たれた方向表示 14/09/23 o super-pricely-MeltyMap.7z 照準(blue) 14/09/23 o 2330_K_vystrelu_goto.7z 装填完了音, 照準縮小音 (Сигнал, без механизма使用) 9.2 Paintball2.rar 着弾痕を着色 14/09/25 o 9.2_Coloured_Session_Statistics_EN.zip 戦闘後 戦績詳細表示 9.2 o Fours FPS 4.2.rar 低解像度テキスチャー (/system/fonts 削除)(/system/data/texture_detail_levels.xml 削除) 14/09/27 o Xft-DamagePanel-092-v0.9.zip 被ダメパネル (/2. Hitlog placed on top使用)HitLog(与ダメパネル)は要XVM 9.2 o mod_calculator_effectivnosti_Vboy.zip 被ダメ与ダメパネル (与ダメだけ使用) 14/09/25 o 9.2_No_fogmaximum_visibility.zip 霧消し 9.2 公式で禁止 (BAN対象) Downloads.zip AimBot - auto aim 14/09/26 o Zoom_mod_092.rar (/ZoomMod使用) カメラズームインアウト 9.2 7. Авторемонт гусли(пробелом).rar スペースキー履帯修理 7.1 zoom-mod-cheat.7z フリーカメラ (cammod.cfg)KEY_T Sniper, KEY_Y Strategic, KEY_G Free 14/09/23 chit-naprevleniya-stvolov-protivnika-na-mini-karte.7z ミニマップ砲塔方向表示 14/09/24 chit-krasnye-shary-world-of-tanks-mesto-vystrela-nezasvechennoj-arty.7z 自走 発射位置表示 (Red Balloons) 14/09/27 mod-avtomaticheskij-ognetushitel-dlya-wot.7z 手動消火器 自動化 14/09/23 o tsvetnye-trassera-dlya-world-of-tanks.7z 弾 軌跡表示 (tracer) 14/09/23 tajmer-perezaryadki-protivnika-nad-tankom.7z 敵 リロード 距離 方向 表示 (no XVM)xリロード時間表示 14/09/26 o chit-mod-lazernaya-ukazka-dlya-wot.7z 敵 砲塔方向表示 (Laser Pointer)KEY_NUMPAD7 ON/OFF - KEY_NUMPAD8 COLOR ON/OFF 14/09/23 mod-rentgen.7z 敵 輪郭線表示 14/09/23 o chamleon_cheat_WOT_0_9_2_wot-ka.ru_.zip 敵 - 輪郭表示, 車体色変更, 消失位置遅延表示 (chamleon)chams.xml ChamsKey KEY_U / EdgeKey KEY_I 9.2 o mod-povalennye-derevya-i-razrushennye-ob-ekty-na-minikarte-lsdmax.7z 倒壊物ミニマップ表示(手動消火器 自動化) 14/09/23 x 9.2_no_shrubs_with-trunks.zip 木軽量化 (木 幹だけ 草 なし)(木 幹葉 草 葉)(半透明化 F2切換) 9.2 Remove the tree crowns - ubiraem-krony-derevev.7z 14/09/25 mod-tundra-kompleksnyj-chit-dlya-world-of-tanks.7z 14/09/25 0.9.2 (o = 使用中) xvm-5.3.4.zip 勝率表示、ミニマップ変更などXVM Configuration Editor 14/09/06 MGS_6thSense_091.zip 6感アイコン(音付き) 音は要XVM 14/08/02 o 8.11_no_intro_video.zip イントロビデオ消し 14/08/02 o MultilinedTankCarousel_1.5.3.zip ガレージ戦車複数段表示(/res_mods/ModSettings/MultilinedTankCarousel.cfg) 14/08/02 o Garage_86_MINIMAL_HANGAR_Hellinger.rar スポットライト格納庫 14/08/02 o indikator-summarnoj-prochnosti-tankov-v-komandakh.7z チームHP表示 (/V1使用) 14/08/02 novaya-panel-scheta-c-indikatorom-obshchego.7z 14/08/13 o locastans Minimap_Gen4_92.zip ミニマップ拡張 no XVM (/spaces 削除) 14/08/02 o SvPW-092.zip メアドパス保存 14/08/02 o 2330_K_vystrelu_goto.7z 装填完了音, 照準縮小音 (Сигнал, без механизма使用中) 14/08/18 o mod-belye-trupy-tankov.7z 壊れた戦車を白色 14/08/02 o qdly - DamageIndicator [Blogtanker.ru].zip 撃たれた方向表示 14/08/02 Paintball1.rar 着弾痕を着色 14/08/02 o 9.2_Coloured_Session_Statistics_EN.zip 戦闘後 戦績詳細表示 14/08/02 o Fours FPS 3.0.rar 低解像度テキスチャー (/system/fonts 削除) 14/08/02 Xft-DamagePanel-092-v0.9.zip 被ダメパネル (/2. Hitlog placed on top使用中)HitLog(与ダメパネル)は要XVM 14/08/04 o mod_kalculator_effectivnosti.zip 与ダメ, 被ダメパネル (no XVM) 14/08/24 o 9.2_No_fogmaximum_visibility.zip 霧消し 14/08/02 公式で禁止 (BAN対象) AIMBOT-092.7z AimBot 14/08/02 o Zoom_mod_092.rar (/ZoomMod使用) カメラズームインアウト 14/08/02 zoom-mod-cheat.7z フリーカメラ (cammod.cfg)KEY_T Sniper, KEY_Y Strategic, KEY_G Free 14/08/02 chit-naprevleniya-stvolov-protivnika-na-mini-karte.7z ミニマップ砲塔方向表示 14/08/02 o mod-avtomaticheskij-ognetushitel-dlya-wot.7z 手動消火器 自動化 14/08/02 colored tracers - tsvetnye-trassera-dlya-world-of-tanks.7z 弾軌跡表示 14/08/02 o tajmer-perezaryadki-protivnika-nad-tankom.7z 敵 リロード, 距離, 方向, 表示 (no XVM) 14/08/13 o Laser Sight - chit-mod-lazernaya-ukazka-dlya-wot.7z 敵砲塔方向表示KEY_NUMPAD7 ON/OFF - KEY_NUMPAD8 COLOR ON/OFF 14/08/02 mod-povalennye-derevya-i-razrushennye-ob-ekty-na-minikarte.7z 倒壊物ミニマップ表示horn.xc - mainSwitchKey KEY_NUMPAD0ModificationDestructible.xml KEY_F2 14/08/02 o ModificationDestructible.rar (0.9.2\scripts\client\mods) 14/09/16 o chamleon_cheat_WOT_0_9_2_wot-ka.ru_.zip 敵 - 輪郭表示, 車体色変更, 消失位置遅延表示 (chamleon)chams.xml ChamsKey KEY_U / EdgeKey KEY_I 14/08/02 o mod-rentgen.7z 敵輪郭線表示 14/08/02 o 9.2_no_shrubs_with-trunks.zip (木 幹だけ 草 なし) 木軽量化 14/08/05 0.9.1 xvm-5.3.2.zip 勝率表示、ミニマップ変更などXVM Configuration Editor MGS_6thSense_091.zip 6感アイコン(音付き)音は要XVM o 9.0_Turn_off_the_flame_and_smoke_when_fired.zip エフェクト消し o 8.11_Multilined_Tank_Carousel.zip ガレージ戦車複数段表示 o Garage_86_MINIMAL_HANGAR_Hellinger.rar スポットライト格納庫 TeamHpPools_API_91a.zip チームHP表示 o indikator-summarnoj-prochnosti-tankov-v-komandakh.7z o low_grafic_91.rar ポリゴン軽量化 912_Minimap-001.7z ミニマップ拡張 o locastans Minimap_Gen4_91d.zip (/spaces 削除) o SvPW-091.zip メアドパス保存 o Shot_ready_091.rar 装填完了音, 照準縮小音 o White_Death_091_by_Artasan.zip 壊れた戦車を白色 atac_8.11.03.7z 近くの敵戦車名表示 o 8.8_damage-indicator-v-2.zip 撃たれた方向表示 9.0_Gun_sight_of_tank_v.4.zip 照準 o Detector.rar o 9.1_Coloured_Session_Statistics_EN.zip 戦闘後 戦績詳細表示 1.5%_Textures_for_0.9.1_Setup.exe 低解像度テキスチャー o Fours FPS 2.1.rar o Xft-DamagePanel-091-v0.8.zip 被ダメパネルHitLog(与ダメパネル)は要XVM o 9.1_No_fogmaximum_visibility.zip 霧消し kiss_std_91.zip XVM CONFIG済みパック(XVM含) 公式で禁止 (BAN対象) o AIMBOT-091.7z AimBot o 9.0_sniper_zoomX.zip カメラズームインアウト 7. Авторемонт гусли(пробелом).rar スペースキー履帯修理 o mod-avtomaticheskij-ognetushitel-dlya-wot.7z 手動消火器 自動化 colored tracers - tsvetnye-trassera-dlya-world-of-tanks.7z 弾軌跡表示 Reload OTM.zip 敵リロード時間表示 要XVM o Laser Sight - chit-mod-lazernaya-ukazka-dlya-wot.7z 敵砲塔方向表示KEY_NUMPAD7 ON/OFF - KEY_NUMPAD8 COLOR ON/OFF mod-povalennye-derevya-i-razrushennye-ob-ekty-na-minikarte.7z 倒壊物ミニマップ表示 minimap.7z ミニマップ拡張 (倒壊物 敵の砲塔方向 リロード)lsdmax_mapballs.xml - KEY_NUMPAD2, 3, 4, 6, 7 X-rays (render tanks) - mod-rentgen.7z 敵 - 輪郭表示 o chams_v0-6.zip 敵 - 輪郭表示, 車体色変更, 消失位置遅延表示chams.xml ChamsKey KEY_U / EdgeKey KEY_I o 9.1_no_shrubs_with-trunks.zip (木 幹だけ 草 なし) 木軽量化 Remove the tree crowns - ubiraem-krony-derevev.7z (木 幹葉 草 葉) mod-tundra-kompleksnyj-chit-dlya-world-of-tanks.7z (半透明化 F2切換) 0.9.0 o xvm-5.2.1-test1.zip 勝率表示、ミニマップ変更などXVM Configuration Editor o 8.8_damage-indicator-v-2.zip 撃たれた方向表示 o MultilinedTankCarousel_1.4.zip ガレージ戦車複数段表示 o 9.0_Gun_sight_of_tank_v.4.zip 照準 o 8.11_1_Scope_Shadow_Removal.zip スコープ影消し 0.8.11 o xvm-5.1.0.zip 勝率表示、ミニマップ変更などXVM Configuration Editor o 8.11_No_shrubs_and_trees.zip 木軽量化 o mod-uvilicheniya-dalnosti.rar 霧なし o 8.8_damage-indicator-v-2.zip 撃たれた方向表示 o paintball1.rar 着弾痕を着色 o MultilinedTankCarousel_1.2.zip ガレージ戦車複数段表示 o 8.8_Gun_sight_of_tank_v.4.zip 照準 o vit_zoom_0811_2x_32x_v1_scroll.zip カメラズームインアウト (ゲーム終了後にエラー) o white_corpses_0.8.11_by_TaTT_DoGG.zip 壊れた戦車を白色 o 8.11_1_Scope_Shadow_Removal.zip スコープ影消し o 0.75%_Textures_for_0.8.11_Setup.exe 低解像度テキスチャー version-1.rar ミニマップ車体方向表示 o GUPVoiceMODv1.8.11.zip 音声MOD 0.8.10 o xvm-5.0.2-test1.zip 勝率表示、ミニマップ変更などXVM Configuration Editor o [8.10]_Shrubs_and_tree_trunks.zip 木軽量化 o mod-uvilicheniya-dalnosti.rar 霧なし o 8.8_damage-indicator-v-2.zip 撃たれた方向表示 o paintball.rar 着弾痕を着色 o MultilinedTankCarousel.zip ガレージ戦車複数段表示 o 8.8_Gun_sight_of_tank_v.4.zip 照準 o zoom-mod-x1-x128.7z カメラズームインアウト / ZoomX.rar o white_corpses_0.8.10_by_TaTT_DoGG.zip 壊れた戦車を白色 version-1.rar ミニマップ車体方向表示 o GuP Voice Pack - Team Anglerfish - v1.2.zip 音声MOD 0.8.9 o xvm-5.0.1-test3.zip 勝率表示、ミニマップ変更などXVM Configuration Editor o vehicles.rar 弱点表示上から順に上書きする RedStar2VS_Kontur_size100_V1.4.7z Tank-hit-zones-8.9-wot-mod.rar o [8.8]_Shrubs_and_tree_trunks.zip 木軽量化 o mod-uvilicheniya-dalnosti.rar 霧なし o 8.8_damage-indicator-v-2.zip 撃たれた方向表示 o paintball.rar 着弾痕を着色 o MultilinedTankCarousel.zip ガレージ戦車複数段表示 o 8.8_Gun_sight_of_tank_v.4.zip 照準 o zoom-mod-x1-x128.7z カメラズームインアウト / ZoomX.rar o white_corpses_0.8.9_by_TaTT_DoGG.zip 壊れた戦車を白色 0.8.8-Mod-Direction-trunks-opponents.rar ミニマップ車体方向表示 o MultilinedTankCarousel.zip ガレージ戦車複数段表示 o GuP Voice Pack - Team Anglerfish - v1.2.zip 音声MOD GUPReloadMOD-Pravdav1.1.zip 未使用 Wide_border_of_maps_0.8.9.zip マップ境界線変更 0.8.8 xvm-5.0.0-test5.zip 勝率表示、ミニマップ変更などXVM Configuration Editorxvm-stat.exeの起動不可 Black-and-white-skin-with-areas-of-penetration-mod-wot-8.7-8.8-.rar 弱点表示上から順に上書きする RedStar2VS_Shtrihovka_size100_V1.5.7z Tank-hit-zones-8.7-8.8.rar hit_zones_v.8(wot-shot.com).zip 8.8_No_shrubs_and_trees.zip 木軽量化 8.8_no_shrubs_with-trunks.zip MFPM v0.8.8.zip 霧なし Damage-indicator-v.2-mod-wot-8.7-8.8-.zip 撃たれた方向表示/flash から /scaleform に移動 8.2_red_hits.zip 着弾痕を赤色 Modified-sights-World-of-Warplanes-Classic-to-World-of-Tanks-0.8.8.rar 照準 sniper4x_088.zip 照準拡大 Belyie-trupyi-podbityih-tankov-0.8.7-by-TaTT_DoGG.zip 壊れた戦車を白色にする 0.8.8-Mod-Direction-trunks-opponents.rar ミニマップ車体方向表示 4lCapwnsTankCarousel.rar ガレージ戦車2段表示 GUPVoiceMODv1.1.zip 音声MOD GUPReloadMOD-Pravdav1.1.zip 未使用 8.7_Distancing_the_camera.zip カメラズーム traverse_087.zip 自走砲・駆逐戦車での射界の限界を表示GunConstraints.xml 内の type 1 /type で表示方式変更 (1~4) 0.8.7 - GRog.rar いろいろまとめて入っている JovesModPack_0.8.8_v7.2.rar ScopeShadowRemove_87.zip スナイパーモードの画面周囲の影消し*Sniper4x_087.zip(照準拡大)と共存不可 No-Binoculars-mod-0.8.81.rar AHuMex_Textures_25_v31_086.rar 低解像度テキスチャー vehicles.rar レーザーポインタMOD(*1)*RedStar2VS_Shtrihovka_size100_V1.4.7z(弱点表示)と共存不可 HP-tanks-in-the-ears-beta-version-for-World-of-Tanks-0.8.8.zip 上部左右スコアにHP表示追加 (文字化け) Pack-of-sights-Mods-wot-8.7-8.8.zip 照準 Sight-Animated-5-for-World-of-Tanks-0.8.8.rar 照準アニメ Improved-lighting-mod-for-World-of-Tanks-0.8.8.rar マップ明るく表示 NoScroll-Disable-regime-change-wheel-8.8.rar マウスホイール無効 Replacement-of-the-aircraft-on-the-airfield-map-mod-wot-8.8-.rar 飛行機→UFO xvm-stat-1.6.1.zip
https://w.atwiki.jp/indexorichara/pages/1091.html
「おう、居た居た。おーい、撚鴃!!」 「要・・・。幾凪も・・・。これは・・・(ボソッ)」 ここは、成瀬台の下駄箱。界刺の部屋から成瀬台に戻って来た椎倉達の前に、花盛支部に所属する冠要が、後輩の幾凪梳を連れて姿を現した。 「何時まで経っても帰って来ないから、梳と一緒に様子を見に・・・・・・固地?」 「固地先輩!!?ど、どど、どうしたんですか!?何で、こんなにボロボロに・・・!!?」 冠と幾凪の視線の先には、寒村に背負われた絶賛気絶中の固地の姿があった。 「・・・・・・それに関しては、後できっちり説明する。寒村、他の皆を連れて先に行ってくれ。それと、今から緊急会議を執り行う。 全支部員を、○○会議室に集合させておいてくれ。俺は、冠と幾凪に少し話がある」 「了解した」 椎倉の指示を受け、寒村の先導の下椎倉・冠・幾凪以外の風紀委員は成瀬台の中に入って行く。 「撚鴃・・・。私達を残したってことは、何か頼みでもあるのか?しかも、その様子だと梳の力も要るようだが」 「えっ!?わ、私の力ですか!?」 冠は椎倉に問い掛け、幾凪はあたふたし始める。そんな光景を目に映し、椎倉は口を開く。 「・・・・・・あぁ。2人に協力して欲しいことがある。今後における、[対『ブラックウィザード』風紀委員会]の方向性を決めかねない重要な頼みだ」 「「!!!」」 数分後、3人も成瀬台の中へ足を踏み入れて行く。 「・・・それでは、これより[対『ブラックウィザード』風紀委員会]に関わる緊急会議を執り行う!!」 ここは、成瀬台の○○会議室。今ここに、[対『ブラックウィザード』風紀委員会]に関わる全支部員が集められていた。 「(あ、危なかった~!!もう少しで、遅刻する所だった!!)」 「(ぶっちゃけ、リンリンは遅刻癖でもあんのかよ!!)」 界刺の部屋から急いで戻って来た159支部に所属する一厘に、鉄枷が文句を言う。 「椎倉。まがりなりにも、固地は178支部(ウチ)の支部員だ。そして、俺は178支部のリーダーだ。 例え俺が“お飾りリーダー”であっても、固地が俺を押し退け178支部に君臨する男であっても、俺は固地が取った行動の責任を取らなければならない。 もちろん、固地の身に何が起きたのかを知る権利もある。わかってるな?」 「浮草先輩・・・」 固地の身を案じる178支部のリーダーである浮草と、浮草に言葉に込められた思いを感じる殻衣。 「ゴホッ!」 「うん?どうしたの、双真?夏風邪でもひいた?」 「大丈夫・・・です」 時折咳をする網枷に声を掛けるのは、176支部リーダー加賀美。 「(くそぅ!くそぅ!サニーの奴!!今度会ったらぜったいに負けないんだからー!!)」 「(莢奈!?ど、どうしてそんなに怒ってるの!?)」 花盛支部の抵部が“サニー”なる人物に対抗心剥き出しにしている姿を、渚は不審がる。 「フンッ!!フンッ!!フンッ!!」 「フンッ!!フンッ!!フンッ!!」 「(・・・何で緊急会議が始まろうとしている時に、この2人は筋トレしてるんだろう?)」 成瀬台支部の寒村と勇路が床の上で筋トレに励んでいる姿に、初瀬は呆れ返った視線を送る。2人のすぐ近くには、ボロボロの固地が寝かされていた。 「椎倉?ちゃんと説明してくれるんでしょうね?全く、私や緑川君を呼んだ張本人がズタボロになってどうすんでしょ?」 「寒村・・・勇路・・・。いいなぁ、俺も早く訓練を・・・!!」 [対『ブラックウィザード』風紀委員会]の顧問(アドバイザー)的存在に昨日なったばかりの橙山憐が、椎倉に声を掛ける。 対して、橙山の付き添い役(=予備役)である緑川強は、寒村と勇路の筋トレを羨ましそうに眺めていた。 何故この2人が風紀委員会に急遽参加することになったかというと、それまで顧問に居た警備員に対して固地が不平不満をぶつけたためである。 固地曰く、『もっと有能な警備員が顧問に居るべきだ』とのこと。 確かに、それまで居た警備員では『ブラックウィザード』捜査における有効な働きを為せていなかったこともあり、 警備員側も固地の要望に応えるように警備員の中でも優秀な橙山と、前線において凄まじい戦闘力を発揮する緑川を派遣したのである。 「まずは、固地の件について説明する前に1つ言っておかなければならないことがある。それは、『シンボル』のリーダー界刺得世との約束だ!!」 「・・・椎倉先輩?何を・・・?」 椎倉の口から飛び出した『シンボル』と、そのリーダーの名に六花が疑問の声を挙げようとする。だが、椎倉は構わず一気に捲くし立てる。 「『「ブラックウィザード」の捜査に関わっている風紀委員は今後、「シンボル」の行動を原則黙認する』、『時には「シンボル」の要請に協力する』、 そして・・・『「シンボル」のメンバーが、風紀委員やそれ以外の人間へ最悪命に関わるような危害を与えた、 もしくは何らかの原因で与えさせてしまったとしても、風紀委員は“数回”黙認する』。 以上“3条件”を、先程界刺と約束して来た」 「なっ!!?」 「椎倉先輩!?それはどういう・・・!?」 椎倉の発言に、六花と初瀬が即座に反応する。2人に限らず、事務処理を行っていた風紀委員達は一様に騒然となる。 その中で、顧問である橙山が椎倉に疑問を発する。 「椎倉?その界刺って奴に脅されでもしたっしょ?」 「・・・あの男は、風紀委員や警備員の上層部が『軍隊蟻』と関わっていることを知っています」 「!!!」 「そして、俺達が『軍隊蟻』から『ブラックウィザード』に関する情報を貰えていないことも看破しています」 「つまり・・・界刺って男は『ブラックウィザード』に関する情報を持っている・・・というわけか。・・・椎倉、そいつと取引したっしょ?」 「はい」 「『軍隊蟻』って・・・。あの・・・?」 「そういえば、湖后腹はまだ知らなかったかな?159支部では、お前以外の人間は『軍隊蟻』と風紀委員及び警備員が関わっていることは既に知っていたぞ?」 「そ、そうなんすか、鉄枷先輩!?」 「ぶっちゃけ、知っていたって言っても具体的なことは全然だけどな。暗黙の了解みたいな感じか、リンリン?」 「そ、そうね。かくいう私も、破輩先輩から聞いて初めて知ったんだよなぁ」 『軍隊蟻』。第五学区を主な拠点とするスキルアウトで、“義を以って筋を通し、筋を通せぬことを生涯の恥とせよ” という信念の下活動している。 他のスキルアウトとは違い、末端のメンバーに至るまで統率が取れているためか、 一般人(ここで言う一般人とは、主にスキルアウト・風紀委員・警備員等を指す)からも評判が良い。 警備員と同レベルの銃火器を持っており、先進国の軍の一個大隊並みの戦力を持っているとされている。但し、有事の際にしか使用されることは無い。 この情報を知る者は少なく、故に世間一般には不良たちの仲良し集団としか認知されておらず、彼らが武装していることはほとんど知らない。 他のスキルアウトとの相違点として、メンバーが無能力者であることにこだわっておらず、能力者のメンバーも多い。 そんな彼等と風紀委員・警備員の上層部は、秘かに繋がっていた。治安維持の名目の下で。 「そらひめ先輩―い!!わたし、全然知りませんでしたよー!!」 「あたしは、結構前から知ってたけどな。個人的には、気に入らなくて仕方無ぇけど」 抵部の声に反応する閨秀。如何に秩序を保っているとは言え、スキルアウトであることには変わりない『軍隊蟻』と手を結んでいることに対して、 彼女的には憤慨しているものの、そこは組織という巨大な力と性質が立ち塞がっているためにどうしようも無いのだ。 「界刺は、かなり広大な情報網を構築している節があります。あの感じだと、『軍隊蟻』の樫閑恋嬢とのパイプさえ持っている可能性がありますね。 あの男なら、『軍隊蟻』の“怒れる女王蟻”と対等以上に渡り合えてもおかしくは無い。 今回の『ブラックウィザード』に関する情報を横流して貰うために交渉した警備員を一刀両断した彼女ですら、交渉事であの“詐欺師”を敵に回したくは無いでしょう」 樫閑恋嬢。『軍隊蟻』におけるNo.3で、指揮官的役割を請け負う才女。知略にも秀でている彼女と渡り合える猛者は極僅か・・・。 「『シンボル』の界刺得世か・・・。そういえば、少し前にあった救済委員絡みの事件でもそいつ等が大きく関わっていたんでしょ?」 「はい。あいつ等の働きで、事件が世間に広がるような大事にならなくて済みました。 ちなみに、その中心人物の1人であった春咲桜は現在『シンボル』の一員です。あくまでボランティアという形みたいですが・・・」 「破輩先輩!?ど、どうして・・・(グイッ!)・・・美魁?」 「牡丹・・・。少し静かにしてようぜ?話が前に進まねぇ」 「美魁・・・?」 六花は、今になって気付く。椎倉が最初に言った“3条件”について、閨秀が一切反応を示さなかったことに。 「話を戻します。橙山先生の言う通り、俺は界刺と取引をしました。それに見合うだけの情報も得ることができました。 俺達の命に関わる重要なことについて・・・です。もしこの情報を知らなければ、俺達全員あの世行きだったかもしれません」 「・・・聞かせて貰うっしょ?その情報というのを・・・」 「はい。皆も、よーく頭の中に叩き込んでいてくれ」 椎倉が次に発する言葉を待ち侘びる風紀委員達(既に知っている者は除く)。そして、言葉はすぐに放たれた。 「現在進行中で、『ブラックウィザード』と単独で殺し合いを行っている・・・殺人鬼が居る。その男は・・・俺達を凌駕する力を持っている可能性がある!!」 「・・・つまり、『紫狼』というスキルアウトが『ブラックウィザード』と縄張り争いをしていて、 その『紫狼』が対『ブラックウィザード』用・・・その“変人”が言う“手駒達”対策に雇った殺し屋ということですか?」 「界刺もその辺に関しては明言を避けていたが、おそらくは。そもそも、奴がその殺し屋と出会ったのは一昨日の夜が初めてだったそうだからな。 そして、偶然にもその殺し屋と出会った界刺自身が危うく殺されかけた。その実力は、推して知るべしと言った所だろう」 「撚鴃。その殺人鬼の能力とかはわかってるのか?」 「これも界刺が実際に殺り合った経験だけのことしか判明していないが、体から糸のような物を無数に出して自在に操作する、蜘蛛みたいな能力者だそうだ。 実力的にはレベル4でも最上位クラス。銃やナイフも使い、身体能力・戦闘技術共に桁違いの動きを見せるようだ」 「イマイチイメージしにくいな。何か、わかりやすい例えは無いのか?」 「そうだな・・・。俺が抱いたイメージ的には、緑川先生級の身体能力と神谷級の戦闘技術を併せ持った人間が、 様々な武器とレベル4でも最上位クラスの能力で俺達を殺しに掛かってくる・・・と言った感じかな?」 「・・・・・・わかった。すごくわかりやすい例えだ」 冠の背筋が震える。緑川の身体能力や神谷が持つ戦闘技術の図抜けた高さは冠もよく知っている。故に、簡単に想像できた。 「何でも、界刺の能力で失明状態にしても全く戦闘に支障を及ぼさなかったそうだ。それだけでも、この殺し屋の恐ろしさが理解できるだろう。 それと、能力らしき糸に関してだが、大きさ等は目に映らぬ細さからセンチ単位の太さへ自在に変化できるようだ。 武器や追跡用にも応用可能で、その糸自体が殺傷能力を持ち、その上空中移動にも使用しているそうだ。これに、銃やナイフ、そして身体能力等が組み合わさって来る。 界刺曰く、『レベルが高いだけの能力者じゃ速攻で殺される。神谷君クラスの戦闘に秀でている能力者が何人も居てようやく殺し“合い”になる』そうだ」 「・・・つまり、それ以外だと一方的な殺戮になると?」 「想像はしたく無いが、そのようだ。実力が悪い意味で未知数だな。その能力で一体どれ程のことができるのか見当も付かない」 六花の確認の椎倉が答えた後に、会議室は静まり返る。重苦しい空気が会場を支配する。・・・無理も無い。 唯でさえ、『ブラックウィザード』に関する捜査が芳しく無いのに、その上で自分達を凌駕しているかもしれない殺し屋が『ブラックウィザード』の周囲を徘徊しているのだ。 自分達が、この殺し屋と遭遇する確率は決して低くない。そして、戦えば神谷級の実力者じゃ無い限り速攻で殺されるというのだ。 「う、うん・・・ここは・・・?」 「固地先輩!?」 そんな時に、今まで気絶していた固地の目が開いた。その声に反応した真面が振り向いた瞬間・・・ ゴン!! 「ガハッ!!」 「固地先輩!!?」 勇路が筋トレ用に持っていた重さ50kgのダンベルが、固地の顔面へと落ちる。それをまともに喰らった固地は、意識を再び手放した。 「ちょっ!?な、何やってんですか、勇路先輩!!?」 「あぁ、ごめんごめん。つい、ポロっと。まぁ、僕の『治癒能力』で治すから大丈夫だよ」 「『つい』って何!?それに、『ポロっと』ってアンタが言うと他のことを想像しちゃうんですけど!!?」 「そうかい?それじゃあ、今からお見せしようか?うんしょ・・・」 「や、止めて下さい!!こ、こんな所で“成瀬台の裸王”の片鱗を見せなくてもいいんですよー!!」 上半身裸になった(なった!!)勇路を慌てて止めに入る初瀬。もちろん、この場に居る者は勇路が“裸王”と呼ばれていることを知っている。 「な、何と言う肉体美!!・・・いいかも・・・」 「牡丹・・・はしたない」 「撫子の言う通りだぜ。・・・涎が垂れてんぞ、牡丹?」 「ハッ!!」 「ガハハハハハハ!!!勇路!!また、一段と鍛え上げられているじゃないか!!」 「緑川師!!師に褒められるのは、僕にとってもこの上ない喜びであります!!!」 「緑川師って・・・。もしかしてとは思っていたけど、あの子も緑川君が主催する『筋肉探求 マッスルステージ 』の参加者なのかしら?」 『筋肉探求 マッスルステージ 』。警備員の端くれである緑川が主催する、筋肉版の青空教室のようなものである。 己が肉体に自信がある者達が、緑川指導の下ひたすら筋肉を崇め立てる無料の講習である。崇め立てるとは、それすなわち鍛えに鍛えることである。 緑川自身、他に並ぶ者が居ない程の筋肉の持ち主である。そんな彼がライバル的存在を求めて開いたのが『筋肉探求』。 『ライバルが居ないのなら作ればいい』という思考の下、警備員の仕事に従事する傍ら、空き時間を見つけては同じ同志達と共に汗水垂らして鍛え上げているのである。 そして、勇路や寒村は『筋肉探求』の参加者であり、同時に信望者でもあるのだ。 「・・・何だか、空気が軽くなりましたね」 「そうだな。ぶっちゃけ、さっきの空気はキツかったぜ」 佐野と鉄枷は互いに言葉を交わす。今のやり取りで、会場を包んでいた重苦しい空気は消えていた。 「なぁ、椎倉先輩」 「ん?何だ、神谷」 今まで黙っていた神谷が、椎倉に対して言葉を向ける。 「あの“変人”は・・・そんな殺し屋に単独で抵抗できるくらいには強いってことだよな?」 「・・・稜?」 神谷の目の色が変わっていることに、リーダーである加賀美は気付く。その目は、スキルアウト等を相手取っている時に見せる“剣神”の瞳。 「・・・現にあの男は生き残っているしな。それが答えなんじゃないか?それに、界刺はその殺し屋に勝つつもりみたいだしな」 「えっ!?・・・。そうなんですか?」 「少なくとも、本人的にはそのようだ。どうやって勝つつもりかは知らないがな。だが、あいつが言う以上何かしらの対抗策があるのだろう。 『「シンボル」のメンバーが、風紀委員やそれ以外の人間へ最悪命に関わるような危害を与えた、 もしくは何らかの原因で与えさせてしまったとしても、風紀委員は“数回”黙認する』。 そもそも、この条件はそれを前提に考えられている。界刺と殺人鬼が行う殺し合いに、もし風紀委員が巻き込まれても・・・という話だ」 「(そういえば、色々有り過ぎて全然疑問に思ってなかったけど、界刺さんってそんな化物相手にどうやって勝つつもりなんだろう? 神谷先輩ですら対抗できるかわからない相手に・・・。光を操る・・・光・・・もしかして、姫っちの『光子照射』のようにレーザーみたいな光も放てるのかな?)」 焔火は、意図せずに界刺の秘策に触れる。だが、それは “アタリ”であって、“アタリ”にあらず。 「だから、この殺人鬼とはできるだけ関わらないように細心の注意を払ってくれ。もし遭遇した時は、すぐに逃げ・・・」 「・・・つまり、それは巻き込まれた後のことで、巻き込まれること自体には言及されていないってことだよな?」 「稜・・・。あなた、もしかして・・・!!」 「加賀美先輩。俺は、引き下がるつもりは無ぇよ?相手が殺人鬼だろうが何だろうが関係無ぇ。俺は俺のやり方でやる。 何で、俺があの“変人”の言うことなんか聞かなきゃなんねぇんだ?仮に、椎倉先輩の言う“3条件”が効果を発揮するとしても、それは黙認するってことだけだ。 ようは、あいつ等の行動を認めた上で、風紀委員として対処すればいいだけの話だ」 「・・・何が言いたい、神谷?」 「つまり、“変人”と殺人鬼が殺し合っている時に、風紀委員である俺がその行動を黙認した後に、2人共叩き潰せばいいだけのことだって言ってんだよ。 殺し合いを認めることと、俺が連中を叩き潰すことは矛盾しない・・・違うかよ?」 「・・・・・・」 神谷の言っていることは、所謂抜け道のようなものだ。黙認とは、すなわち『黙って認める』、または『過失を見逃す』ことである。 風紀委員や警備員が『軍隊蟻』にしていることと同じ、暗黙の了解的な行為。 それを、神谷は本来であれば『過失を見逃す』という意味を適用すべき所を『黙って認める』という意味を適用すると言っているのだ。 具体的には、『界刺が殺人鬼と殺し合う行為自体は黙認するが、そこに風紀委員である神谷が首を突っ込み、殺人鬼を叩き潰す行為には何の問題も無い』ということだ。 そして、『風紀委員である神谷の行為に反発した界刺の行為を黙認した上で、正当防衛という形で対処し叩き潰した行為にも何ら問題は無い』ということである。 その解釈が駄目でも、『刃向かった界刺を叩き潰した後に、風紀委員への反発行為という過失を見逃す』というのは有り。そう、神谷は考えていた。 「相変わらずあんたは・・・」 「うん?何だよ、真面?何か文句でもあんのかよ?」 「んなこともわかんねぇのかよ!」 「真面君。・・・。落ち着いて・・・」 神谷の態度に、真面が怒りの視線を向ける。それに気付いた神谷の問いに激昂しかける真面を、同僚の殻衣が宥める。 「・・・確かにそういう解釈も可能だ。だが、それを認めるわけには・・・」 「・・・・・・問題無い」 「姫空?」 神谷と椎倉の会話に首を突っ込むのは、同じ176支部のメンバー姫空香染。 「・・・・・・何で黙認?・・・・・・何で黙ってないといけない?・・・・・・そんな殺人鬼を・・・・・・放置できるわけが無い」 徐々に、徐々にだが姫空の言葉に熱が宿る。 「・・・相手の強さなんて関係無い。・・・“変人”との約束なんてどうでもいい。・・・そんなんじゃあ・・・助けられるものも助けられなくなる・・・!!」 「確かに姫空ちゃんの言う通りだね。相手が女性だったら・・・・・・・・・グググッッ、いや、女性であったとしても放置できる問題じゃ無いね」 姫空の言葉に、次々に呼応する176支部のメンバー達。 「もしかしたら、その殺し屋の魔手があの青髪の殿方に及ぶかもしれない・・・。そんな可能性を断じて許すわけには行かないわ!!」 「フン・・・。このエリートである私が、殺人鬼如きに後れを取るわけが無い。いいだろう、その殺人鬼は私の手で葬り去ってくれる!!」 「おい、斑。テメェ、また俺の手柄を横取りするつもりか?」 「フン。何故このエリートである私が、貴様の手柄等を横取りしないといけないんだ?被害妄想も甚だしいぞ、神谷?」 「・・・何かわかんないけど、176支部(ウチ)の問題児集団がやる気になってる・・・!!あっ、何か急に胃が・・・」 加賀美が言う所の問題児集団(176支部内)である神谷、斑、鏡星、一色、姫空が何故か一様にやる気満々状態になっている。 普段は、単独であれやこれやの問題ばかり起こしてる連中がである。こういう時は碌なことにならない代わりに、普段には見られない一致団結した動きを彼等は見せる。 ここで言う碌なことにならないとは、加賀美の胃が痛くなることである。 ちなみに、この問題児と定義されている人間の中に加賀美自身は入っていない。否、入れていないと言った方が正しいか。自分に甘いとは、こういうことである。 「フフフッ。どうするっしょ、椎倉?」 「・・・ハァ」 橙山が問い掛けて来る。・・・仕方無い。だが・・・“好都合”でもある。神谷がこういう反応を示すのは心の何処かでわかっていた。ならば・・・ 「いいだろう、神谷。元々、お前達176支部はここに居る支部の中でも突出した戦闘力を持った支部だ。お前達なら、あるいはこの殺人鬼を潰せるかもしれない。 176支部内において戦闘力に秀でている人間のみ、この殺人鬼との戦闘を認めよう。他の支部は原則手出し無用だ。俺達の本命は『ブラックウィザード』だからな。 だが、無理はするな。危うくなれば、すぐに逃げろ。但し、界刺に対しては余り面倒事を起こすな。・・・わかっているな?」 「・・・・・・了解」 神谷は、椎倉の真意含めて了解の返事をする。固地の盗聴etcの件もある。それに、この殺し屋と戦える可能性があるのなら、自分は構わない。 あの“変人”にできて・・・自分にできないわけが無い。あの碧髪の男に、絶対に負けたくない。 「さて、次に固地の件を説明する。浮草。待たせて済まなかったな」 「いや。俺としては、固地の身に何が起きたのかを知れたらそれでいい。あの固地を、こんな状態にするような奴だ。・・・相当ヤバイ奴なのか?」 「まさか・・・『ブラックウィザード』の仕業なんじゃあ・・・?」 「落ち着け、初瀬。それじゃあ、説明するぞ?」 口ではそう言っているが、内心は穏やかでは無いだろう178支部のリーダーに声を掛けた後に、椎倉は説明を始める。 他の人間(事情を知らない人間)も、椎倉の説明に耳を傾ける。 「実はだな・・・。固地がこんなことになったのは・・・」 「なったのは・・・?」 とは言っても、言葉としてはそれ程長くは無いのだが。 「界刺に恋する少女達の逆鱗に触れたからだ」 (事情を知らない)人間全員がズッコケたのは言うまでも無い。 continue…?